文化財建築で〝お月見〟を
古代から現代に至るまで、人々を魅了してきた「月」。その月をテーマとした企画展「月百姿×百階段~五感で愉しむ月めぐり~」がホテル雅叙園東京(東京都目黒区)にある東京都指定有形文化財「百段階段」で開かれている。
見どころの一つは、幕末から明治にかけて活躍し、「最後の浮世絵師」とも呼ばれた月岡芳年の「月百姿」。歴史や伝説、和歌、物語、謡曲など月にまつわる場面を描いた100枚の作品群で、同展ではそのうち20点が展示される。
さらに現代のアーティストたちが多種多様の技法で表現した、神秘的な月の世界も紹介。紫式部が源氏物語の構想をひらめいたという石山寺の月夜をイメージした作品や、2000本以上のススキと虫の音に包まれながら見上げる満月など、まるで浮世絵の世界に入り込んだかのような体験も。また、作者自身が幼い頃、闇夜の中で目にしたという月の光がモチーフとなった「夜の礼拝|WORSHIP OF THE NIGHT|」は、鑑賞しているとまるで宇宙にいるかのような気分にさせられる。
部屋全体を使った作品以外にも、水面に映る月の光とさざ波をイメージしたガラス作品や日本画の材料として使われる岩絵具で描かれた掛け軸「月と稲妻」など、月の美しさを表現したアート作品が数多く楽しめる。
入場料は一般1600円、大学生・高校生1000円、中学生・小学生800円、未就学児は無料。12月1日まで。(ペンとカメラ・石井孝秀)