政府が日本批判を黙認
彩 中国で日本人学校に通っている男の子が亡くなる事件が起きたね。
父 中国の広東省深圳で9月18日、登校中だった10歳の日本人男児が刺殺された事件だね。中国側は哀悼を示しつつも「類似の事件はどの国でも起きる」(中国外務省報道官)としている。日本側にこの事件の「政治化を避けるべきだ」とまで主張しているよ。単なる不幸な事故として片付けようとする中国側の対応には怒りを覚えるね。
彩 日本人だけが狙われるの?
父 確かに、今回の事件以外にも江蘇省蘇州で6月に日本人学校のスクールバスが襲われ、日本人の親子らがけがをした事件があった。ただ中国で襲われたのは日本人だけではなく、吉林省で6月に米国人大学講師4人が刃物で刺傷される事件もあった。
政府批判できない中国人の不満は、外国人へ向けられているのかもしれない。
彩 中国政府が国民の怒りの矛先をそらそうとしていると聞いたこともあるよ。
父 中国のインターネット上の言論は行政によって統制されていて、政府の意に沿わない投稿内容は削除されるが、日本批判の投稿は削除されなかったんだ。中国政府にとっては、国民が自国への愛国心・民族愛を強めるためには「敵国」がいた方がいい。幼い頃から、日中歴史を持ち出して「日本は悪」という印象を抱くようなコンテンツを映画、観劇などで見せるので、子供たちは民族意識が高まり、日本に対して悪い感情を抱くことにつながる。
外国人が襲われる一連の事件や靖国神社への放尿、落書きは中国人の「民族愛の暴走」のようにも見える。
彩 中国に行くこと自体が日本人にとって危ないのかも。
父 日本大使館は1人での夜間外出を避け、日本語を大声で話さないように呼び掛けている。本来、在留外国人の安全は受け入れ国の責任だ。でも、それがなされないなら、日本の外務省は自国民を守るために渡航危険度を「レベルゼロ」としている中国への評価を見直す必要がある。