Homeサンデー世界日報Q.人の話を素直に聴けない【サンデー世界日報より】

Q.人の話を素直に聴けない【サンデー世界日報より】

相談室

どうしても人の話を素直に聴くことができなくて困っています。自分は正しいという思いにとらわれがちになり、話を聴くと負けたと感じることが多いのです。妻に「あなたは話しているうちにマウントを取ろうとしている」とよく注意されるのですが、今まで大して気にも留めていませんでした。ところが最近、人事で入ってきた部下から「課長は僕の話を分かろうとするよりも、分からせようとご自分の意見をぶつけてこられるので、自分の気持ちを話せなくなります」と言われ、ショックと受けました。自分自身の生き方の問題だと思い、何とかしなくてはと思っています。ヒントがあれば教えてください。(埼玉県在住 男性50歳 公務員 妻47歳 公務員)

A.勝ち負けより傾聴の習得を

「話を聴くと負けたと感じる」とあります。その理由は、あくまで私の仮説ですが、親から共感されずに育ったか、「正しくなければならない」「○○であるべきだ」というメッセージを伝えられて育ったからかもしれません。

もしそうだとしたら、そのことが仕事関係や近所付き合いなどさまざまな場面で、「自分が正しく、相手が間違っている」との思いに発展してしまうのだと思います。

また、幼い頃から「強くないといけない」「成功しないといけない」「負けてはいけない」「正しくあらねばならない」「達成しないといけない」などと期待されて育った方は、「勝たないと気が済まない」傾向になりやすく、話を聴くのが苦手になりがちです。

あなたは、以下のような言葉を聞くと、どう感じますか?

「感情は弱さ、理屈は強さ。つながるよりも支配する。分かち合うよりも勝ち取ろうとする。人との関係は勝つか負けるか。人を分かろうとするよりも、分からせようとする」。いかがでしょう。

「自分は正しい」という思いにとらわれがちな人の対話は、相手が受け止めやすく返すキャッチボールではなく、自分が勝つか、相手が勝つかのドッジボールになっています。相手を負かそうとして自分の意見をぶつけるのです。

私がお勧めするのは「傾聴」を習得されることです。傾聴においては、会話がどんな内容になるのか、どんな方向に行くのかは、話し手にも聴き手にも分からないものです。話し手に話したいことを話してもらい、聴き手はそれを理解しよう、受け入れようとしてついていくだけです。

どちらが正しい、間違っているかにとらわれず、人とのつながりを大切にしながら、関わっていくことが傾聴です。傾聴を学ぶと自分を受け入れられるようになり、自分の気持ちに自信が持てるようになり、怒ったり傷ついたり、落ち込んだり、心を閉ざしたりすることが減り、優しく寛容になります。

そのため、もめごとを避け、人と仲良くなりたいと願うようになり、良い人間関係が築けるようになります。

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