化粧直しの干支を奉納
来年の干支を〝リメイク〟して奉納する珍しい神社が和歌山市に存在する。
同市伊太祁曽地区に鎮座する伊太祁曽神社だ。毎年春祭りに、古い干支の作品を新たに化粧直しして奉納している。
奉納者はチェーンソーを使った芸術作品「チェーンソーカービング」で多くの作品を制作し、世界的に知られる城戸啓治さん。
作品は来年の干支『巳』で、高さ約2㍍。太さは大人の二の腕ほどで、首をもたげた姿は周囲を威圧する迫力がある。
実はこの作品、12年前に城戸さんが手がけたもので、来年の巳年のために表面を削り、〝お色直し〟した。干支が一巡すると、ひび割れたり色あせていたが、大小のチェーンソーを使い木肌が蘇り、新作同様に重量感たっぷりだ。
眼に赤いガラス玉がはめ込まれると、奉納してある空間を抜け出しそうなほどリアリティーがある。干支の作品の奉納は、20年前に始まり、巳年は2回目。
同神社は1300年の歴史を誇る延喜式の神社で、4月の木祭りの後に奉納されている。
同神社は祭神が『日本書紀』に記される「五十猛命」 を祀る。植樹して各地を廻ったと伝わる「木の神様」として慕われており、全国の木材関係者の参拝が多い。
社務所では「12年前に彫らせていただいた作品は、新たなエネルギーを得て未来へと渡っていきます」と説明している。本殿にはこれまでに奉納された作品が並び、出番を待っている。(ペンとカメラ・日下一彦)