Byサンデー編集部
全国の伝統芸能が大集結
「あいたっ、いたた」。恐ろしい鬼の姿をした神鳴様(雷様)がヤブ医者の針治療で、大げさに手足をバタつかせ、痛がった。その滑稽な姿に会場のあちこちから「ふふ」と笑いがこぼれた。
日本各地に脈々と受け継がれた芸能の保存、継承を目的とした「地域伝統芸能まつり」(主催:同実行委員会など)が3日、東京都渋谷区のNHKホールで行われた。狂言をはじめとした伝統芸能を継承した演者らが全国から集結し、多彩な演目を披露した。
24回目となる今回は八つの芸能を実演。会場を盛り上げたのは神奈川県川崎市の民俗芸能「新城の囃子曲持」。軽快なお囃子とともに、大きいもので55㌔、小さくて25㌔もの米俵を持ち上げたり、投げ合う様子に観客はハラハラ、ドキドキ。技が決まると拍手が起きたりと、感心しながら鑑賞した。
6年に1度行われる島根県江津市の「大元神楽」は国の重要無形民俗文化財に指定されている。今回披露されたのは「鐘馗」という演目。疫病の鬼を素戔嗚尊が鐘馗大臣の守護をもって退治するというもの。豪華絢爛な衣装の神と鬼の見ごたえある舞に、人々は見入った。
この他、岩手県一関市の「行山流舞川鹿子躍」や、2022年に「風流踊」として、ユネスコ無形文化遺産に登録された東京都・日の出町の「下平井の鳳凰の舞」などが演じられた。(文と写真・村松澄恵)