若い世代が開催引き継ぐ
正月飾りなどを燃やし無病息災を願う冬の風物詩どんど焼きが1月20日、茨城県つくば市の小田城跡歴史ひろばで行われた。
竹や木で組んだやぐらには、門松やしめ縄、だるまなど地元の人々が持ち寄ったり全国から送られたりした縁起物が並べられた。宮司による祈祷の後、地元の子供たちが松明で火入れをすると、パチパチと音を上げて燃え上がるやぐらに、来場者たちは見入った。
どんど焼きは小正月(1月15日)ごろに行われ、正月を締めくくる伝統行事。全国的に主催者の高齢化に悩まされる中、小田では若い世代の有志が運営を引き継いだ。
「若者ならではのアイデア」と主催団体「七色武士」の小出卓哉さん(30)が話すのは、お焚き上げをする縁起物を当日持ち寄るだけでなく、事前回収や全国から郵送での回収も受け付けたことだ。当日の来場が難しい人や、高齢化などのためどんど焼きが行われなかった地域の人も収めることができる。正月飾りだけでなく、人形や縫いぐるみなど廃棄に困る物品も回収し、中には北海道から送られてきた物もあったという。
会場に設けられたステージでは、甲冑を身に着けた地元の人々が、国指定史跡である小田城跡にまつわる歴史を紹介する演出も。居城である小田城を何度も落城させたことから「戦国最弱の武将」ともいわれる小田氏治について「本当は最弱じゃないんですよ!」とアピールし、観覧席の子供たちも巻き込んで盛り上がりを見せた。食べ物の屋台や甲冑の試着、けん玉体験といったブースも出店し、多くの家族連れでにぎわった。
お焚き上げの後には餅が振る舞われ、寒空の下で冷えた体を温めた。どんど焼きの火で焼いた餅を食べると一年の無病息災が叶うともされる。
小出さんは、「これから小田のことを広く知ってもらい、日本一のどんど焼きにしたい」と意気込んだ。(文と写真・辻本奈緒子)