「公共の精神養え」小山常実氏が講演
新しい歴史教科書をつくる会(つくる会、会長・高池勝彦弁護士)は25日、『新しい公民教科書』(自由社)の出版を記念するシンポジウムを東京都内で開いた。登壇した教科書執筆者らは、多くの公民教科書が国家観や家族観を欠き、日本を解体へと導く左翼的な内容であるとして批判。『新しい公民教科書』こそが公共の精神を養い、日本を再興するための「思想的拠点」になると主張した。

つくる会が主導する自由社の公民教科書が令和6年の教科書検定に合格した。これを機に、全ての国民に読んで学んでもらいたいと、同書の市販本がこのほど出版された。シンポジウムは出版に合わせ、開催された。
「日本国憲法が解体計画書だとすれば、それを先鋭化させたものが新日本解体計画書である公民教科書だ」
つくる会理事で『新しい公民教科書』の代表執筆者である小山常実氏は、シンポジウムで基調講演し、従来の公民教育の在り方に警鐘を鳴らした。
教科書から法制定の流れ
LGBT理解増進法が成立する前から教科書にはその記述があり、アイヌ民族についても「太古からの先住民族」と書かれ、法律制定へとつながる流れがあったという。
2006年の教育基本法改正の結果、公民教育から家族・地域社会が消えたことや、公共の精神を教えていないことを小山氏は問題視。本来あるべき「家族→地域社会→国家→国際社会」という4段階の社会論の記述を復活させたと話した。
その上で、「国家の目的・役割である①国防②社会資本整備③法秩序・社会秩序の整備④国民一人ひとりの権利保障―が初めて公民教科書に書かれた」と誇った。
小山氏は「戦後の日本はこれらの役割を捨ててきた」と批判。その証拠として、財務省の緊縮財政によるインフラ老朽化、北朝鮮による拉致問題への対応不足、日本人差別につながる「ヘイトスピーチ解消法」制定を挙げた。
また、憲法の項目では、①議会は自由意志を持って憲法を審議した②帝国憲法は非立憲主義の憲法だから押し付けられたとしても有効③日本はアジアを侵略し迷惑をかけたのだから、押し付けられても文句を言えない――とする成立過程を正当化する理屈を否定。その上で、連合国軍総司令部(GHQ)の最高司令官マッカーサーによる憲法改正の指示を記している。小山氏は、「日本国憲法の成立過程を解説しているのはつくる会だけである」と誇った。

シンポジウムでは、ほかの教科書執筆者・執筆予定者も登壇した。
エネルギー問題を扱った日本文化大学特別選任教授の松浦明博氏は、日本は国土の約7割が森林に覆われた世界でも稀有(けう)な「森の国」であり、森と共生し、それを継承してきた伝統があると説明。地球温暖化の問題における「脱炭素」の主張は、日本を弱体化させるための道具として機能している側面があると説いた。
人権問題の分野を担当した文芸評論家の三浦小太郎氏は、中国政府による国境を越えた民族弾圧が日本在住のウイグル、モンゴル、チベット人に対しても行われていると警告した。その上で、「スパイ防止法をはじめ、独裁国家からの主権侵害や内政干渉を跳ねのけるための法的整備を急がねばならない時期に来ている」と訴えた。
17日に国会で可決・成立した改正皇室典範にも話題が及んだ。亜細亜大学非常勤講師の金子宗徳氏はメッセージを寄せ、「改正案の審議過程で、国民が皇室に対する深い認識を共有し、その強化に向けて強い決意を固めることを期待していたが、イデオロギーの相違が表面化し、皇室の在り方が今後も政治的争点として残ることになった」と指摘。国民国家の解体を推進しようとする動きに警鐘を鳴らした。
次期執筆予定者で日本安全保障フォーラム会長の矢野義昭氏は、現代社会を覆う「狂った思想」として、共産主義とその後ろ盾にあるグローバリズムを批判。東洋の古典である『大学』の教え、「徳治」の重要性を強調。「日本の伝統的価値観の復興」と「利己主義(エゴイズム)の克服」こそが日本再興の鍵であると訴えた。
教員は権利と平和を強調
横浜市公立中学校教諭を3月で退職した服部剛氏によると、ほぼ全国の中学生が東京書籍、帝国書院の教科書で公民を学んでいるという。しかし、いずれの教科書にも、家族や国家、愛国心、公共の精神が書かれていない。教員の知見が狭く、左傾化した近視眼的な議論をする中で、「世の中で一番大切なものが人権と平和だと教え、個人の権利を強調する教育は、非現実的平和主義の極み」だと嘆いた。
新しい歴史教科書をつくる会
日本の未来を担う子供たちが、日本に誇りを持てる教科書で学べることを目的に、平成9年に発足し、中学校の歴史教科書・公民教科書の執筆に取り組んできた。日本人がまず日本国を愛し、誇りを持つことが国際化の基盤であり、他国の歴史や文化を尊重することにつながると主張する






