トップ社会教育法教育とAI活用を議論 「こども六法スクール」開校5周年でシンポジウム

法教育とAI活用を議論 「こども六法スクール」開校5周年でシンポジウム

シンポジウムで司会を務めた『こども六法』著者の山﨑聡一郎氏=2日午後、東京都文京区の文京区民センター(辻本奈緒子撮影)
シンポジウムで司会を務めた『こども六法』著者の山﨑聡一郎氏=2日午後、東京都文京区の文京区民センター(辻本奈緒子撮影)

 小中学生に身近な法律を分かりやすく解説したベストセラー『こども六法』をきっかけとした学習塾「こども六法スクール」の開校5周年を記念したシンポジウムが2日、東京都内で開かれた。「AI時代の法教育とメディアリテラシー」をテーマに、闊達(かったつ)な議論が進んだ。

 パネルディスカッションで『こども六法』著者の山﨑聡一郎氏は、学校教育ではほとんど日本国憲法しか習わず、特に小学生は刑法や民法にアクセスしづらいと指摘。この問題意識が『こども六法』の出発点だったと明かした。また、同書は学級文庫などに多く導入されている半面、その利用については「法的リテラシーのない大人が使うと『いじめは法律で禁止されているからやっちゃだめだよ』となってしまう。子供に法律の素養を身に付けさせるという観点では、こうした受け身の姿勢は逆行する」と懸念を示した。

 総務省の主権者教育アドバイザーを務める明治大学文学部元特任教授の藤井剛氏は「『なぜ法律はこうなっているのか』という背景にまで踏み込んで考えられる力が必要だ」とした上で、法教育では「法律の考え方の根本をつかまえて『あれ?』と思える力をつけることが大事」と語った。

 メディアリテラシー教育の第一人者である千葉大学大学院教育学研究院長の藤川大祐氏は「能動的にAI(人工知能)を活用する」必要性を説いた。「大学院生を教えていても、そもそもAIに質問したり対話したりすることを避けている場合が多い」と述べ、「しつこく対話し、何種類かAIを使い分けて試行錯誤すれば求める回答は出てくる。幼い子供の頃から対話をしていけば使いこなせる可能性があるかもしれない」と期待を寄せた。

シンポジウムに登壇した(左から)『こども六法』著者の山﨑聡一郎氏、藤井剛前明治⼤学⽂学部特任教授、藤川⼤祐千葉⼤学⼤学院教育学研究院⻑=2日午後、東京都文京区の文京区民センター(辻本奈緒子撮影)
シンポジウムに登壇した(左から)『こども六法』著者の山﨑聡一郎氏、藤井剛前明治⼤学⽂学部特任教授、藤川⼤祐千葉⼤学⼤学院教育学研究院⻑=2日午後、東京都文京区の文京区民センター(辻本奈緒子撮影)

 会場から「児童や生徒に人権や権利を教えるとわがままを助長するという誤解をどう打破するか」と質問が挙がると、山﨑氏は「法律は子供を守ると同時に先生を守るものでもあり、どちらかに肩入れするわけではないという認識を広めるべきだ」と強調した。

 3日の憲法記念日を前に記者会見した最高裁の今崎幸彦長官は、生成AIについて「猛獣」と表現し、使うには力量が必要だとの認識を示している。法律とAIの関わり方、そして教育現場の取り組みが今後も注目される。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »