トップ社会教育宗教者間の和合が世界平和の第一歩 北海道札幌市でフォーラム開催

宗教者間の和合が世界平和の第一歩 北海道札幌市でフォーラム開催

昨年12月21日に開かれた「宗教和合有識者・宗教者フォーラム」

世界に絶えることのない戦争と紛争。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は今なお続き、中東においてはイスラエルとハマスは停戦合意に至ったものの、和平の道は程遠い。これらの戦争の背景には宗教間の対立が大きく左右している。そうした中で宗教者間の対話・和合を通して世界平和の実現を目指す「有識者・宗教者フォーラム」がこのほど、札幌市内で開かれた。
(札幌支局・湯朝肇)

多くの宗教の根は同じ

対話討論で思いを共有

「『平和』という字をよく見ますと“平(たいら)”に“和(やわ)らか”と書きます。そこには物事の優劣や上下がない。すなわち、差別や中傷といったものがなく互いに心が和らいでいる状態を表しています」――こう語るのは、北海道の南幌町を拠点に布教活動を続ける浄土真宗高田派僧侶の榎本興信師。昨年12月21日、札幌市内で開かれた「宗教和合有識者・宗教者フォーラム」(主催、基本的人権と信教の自由を守る北海道民の会)のパネリストとして参加した同師は、常日ごろから考えている宗教の和合について、その思いを吐露した。

「宗教者の中には、自分の宗教だけが一番と言い切って他宗教との対話を拒否する人がいますが、そのような姿勢で平和をつくり出すことはできません。手のひらを見れば5本の指が出ていますが、指の元は同じ手のひらです。宗教も同じで、根は同じと考えることで平和が実現していく」と榎本師は語る。

この日のフォーラムは、第1部で基調講演の講師として世界平和宗教連合の石丸志信会長が招かれ「宗教和合と世界平和~可能性とその課題」をテーマに講演した。第2部では榎本師の他にイスラム教のイマーム(導師)であるムハメド・イシマエル師がパネリストとして話題を提供。

この中でまず、基調講演に立った石丸会長が、宗教者の和合の必要性について、「現在、世界にはキリスト教、イスラム教、仏教、ヒンズー教といった四大宗教の他に無数の宗教がある。多く宗教が世界的な広がりを志向し、世界平和を求めており、それらの根本的な教えの基本に宗教の和合・統一が据えられている。世界平和の実現のためには宗教者の積極的な対話と和合は避けることができない」と宗教者間の連携を訴えた。

一方、イスラム教イマームのイシマエル師は、「現在、世界には20億人のムスリム(イスラム教徒)が存在する。イスラムとは元来、“神への服従”“平和”を意味し、多くの人が平穏に暮らしている。一部の過激な人々によって、イスラム教全体が偏見視され、誹謗(ひぼう)・中傷の的にされるのは非常に寂しく、悔しいこと」と語る。北海道においての取り組みとして、「私たちの生活・文化や教えを知ってもらうために、地域との交流を進めるためラマダン(断食)の月には、地域の人を招いての断食明けのパーティーを開催するほか、札幌市内の中学校や高校に出向いて講座を持つこともあります。また、昨年9月からは米国の標準カリキュラムの認証を受け、札幌インターナショナルスクールを開設しています」と積極的に地域共存に力を注ぐ姿を紹介した。

こうしたパネリストの話を受け会場からは、「私は若い頃、ありありと存在する神様の実体験を持ち、今なお、神の臨在を感じている。神様の願いは争いではなく平和であるとすれば、宗教の和合は絶対に必要だ」(峯弘・元メノナイト派牧師)といった意見や、「天理教では人類を創造された親神様を崇拝しており、人類はみな神の子と教えられている。当然、他の宗教の方々も神の子でありますから、対話や和合を妨げたりする者は一切ありません。それぞれが手を取り合って神様と人類が一つになることは神様の願いでもあります」(天理教分教会長)といった感想が上がり、会場に集った50人近い参加者は2時間以上にわたる対話討論の中で宗教和合への思いを共有した。

同フォーラムを企画した基本的人権と信教の自由を守る道民の会では、「当会は道内に在住する世界平和統一家庭連合に所属する有志が、宗教に対する偏見や差別をなくし和合してゆきたいという思いを持ち、昨年4月にスタートした団体。今回は2回目のフォーラムとなりますが、さらに活動を進めたい」(事務局)としている。

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