トップ社会教育面白い柔軟な発想と工夫 第57回秋田県高等学校総合美術展

面白い柔軟な発想と工夫 第57回秋田県高等学校総合美術展

美術部員の354点が一堂に集う

約200個ものバラの花で包まれたフラミンゴや海の豊かさを守ろうと訴えるデザイン画など、秋田県内約30校の美術部員の作品が一堂に会する美術展が11月15日から18日まで、秋田市のアトリオン(総合生活文化会館・美術館)で開かれた。正式名称は、第57回秋田県高等学校総合美術展。

主催は県高文連(昭和58年発足、加盟56校)で、高校生の芸術文化活動に関する諸事業を行っている。今回は文化部16専門部の一つ、美術工芸部門の展覧会で、絵画、彫刻、デザイン、工芸、映像の5部門に354点の出品があった。特賞7点は来年7月に香川県で開催の全国高等学校総合文化祭(全国高総文祭)に出品される。

彫刻部門の特賞「綺鳥―いろどり」(公立美大付属高1年・高橋蘭さん)は、フラミンゴの羽を色とりどりのバラの造花約200個で飾り、長い首はふさふさの布で、クチバシや目にも工夫を凝らした。長い足は鉄筋に塗装する柔軟な発想が面白い。

絵画部門の「塗り重ねる、今になる」(秋田中央高校2年、吉澤風香さん)は、イーゼルに立てたカンバスの自画像をメインに、背景に部室、右片隅に花、青空と髪の毛が青色、絵具道具とシャープペンシルを持つ右手と、多層的に表現した。しわを付けた薄い紙を貼り付けたカンバス地の工夫も評価されたようだ。

ほかにデザイン部門の「百魚海行」(公立美大付属高2年・珍田須世莉さん)は点や線、渦の描写だけで立体感を出し、「地底アクアリウム」(湯沢高2年・奥山樺音さん)も完成度が高く、いずれも特賞に選ばれた。

一方、特賞からは漏れたが、海の保全を訴えるポスター「海を。」(増田高2年、菅野泰馳さん)や、大小3個の同型椅子を入れ子にした県立聴覚支援学校2年・藤田泰輝さんの木製品も心に残った。

友人と訪れた70代の女性は「孫が、もっと良い作品にならないかと苦労していたので、見に来ました」と話した。美術展は部員同士の交流と広く県民への周知のため毎年開かれている。

なお全国高総文祭は、昭和52年から始まった高校生による国内最大規模の芸術文化活動の祭典で、来年度は香川県の開催だが、令和8年度は秋田県内が会場となる。同祭典が第50回の節目となることから、県高文連は秋田県内の自治体や高校と連携し準備を進めている。

(伊藤志郎)

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