トップ社会教育イスラムの国旗など自国を紹介

イスラムの国旗など自国を紹介

「国際協力フェスタ2024」でSISの子供たち

それぞれの出身国をアピールする札幌インターナショナルスクールの生徒たち

長引くロシア・ウクライナ戦争やイスラエルとハマスに見られる中東での軍事衝突など世界各地で戦争や紛争が繰り広げられている中、国籍や言語、宗教を超えて活動する北海道NGO(非政府組織)ネットワーク協議会主催の「北海道国際協力フェスタ2024」が開催された。その中でイスラムの子供たちが通う札幌インターナショナルスクール(SIS)の小中学生が、それぞれ自国のアピールを行った。
(札幌支局・湯朝肇)

サウジなどから民族衣装で

「平和のバトンつなげたい」

「ぜひ、この子供たちのお話を聞いてください」――こう語るのは北海道イスラミックソサエティのムハメド・トゥフィック会長。12月7日、札幌駅前通り地下歩行空間で開かれた北海道国際協力フェスタに初めて参加した札幌インターナショナルスクールの子供たちが、それぞれの出身国の国旗や国歌、料理や名所など手作りのポスターや模型を使って説明した。

エジプト出身の中学1年生の女の子は「エジプトの国旗は赤、白、黒の3段階から成り、真ん中の白色のところに鷲(わし)の絵があります。赤は革命で流した血、白は平和と明るい未来、黒は革命前の支配された暗い時代を表します。真ん中の鷲はサラディンの鷲です」と説明。

また、サウジアラビア出身の男の子も国旗や国歌、国鳥の話をした後、机に置かれた手作りのメッカにあるカーバ神殿の模型を使って、巡礼の様子を説明。また同国で作られた香水やアラビア語のアルファベットを披露した。この日の発表会ではエジプト、サウジアラビアの他にインドネシアやマレーシア、バングラデシュなど7カ国の紹介が行われ、民族衣装をまとった子供たちが、自国に伝わる民族料理や歴史などについて目をキラキラ輝かせながら説明する姿が印象的であった。

札幌インターナショナルスクールの設立は比較的新しい。同校は2020年に札幌イスラミックインターナショナルスクール(SIIS)としてスタートした。ムハメド・シェハタ校長によれば、当時は生徒が9人で先生は5人、3クラスのみであったという。その後、生徒数は30人以上に増え、今後も増加が見込まれることから、建物を含め学校の態勢を整えながら今年10月から札幌インターナショナルスクールとして再スタートしている。

「私たちの学校は、米国の国際標準のカリキュラムを基に構成されています。とりわけ、生徒は中東や東南アジアの国々から来ていますので、まず語学の学習に力を注いでいます。最低、英語、アラビア語、そして日本語の3カ国語を話せるように教育し、その他に数学や地理、体育なども教えています」(シェハタ校長)と説明しながら、「学校ではイスラムの生徒だけでなく日本の生徒も歓迎しています」とにこやかに話す。

ちなみに、北海道では近年、ムスリム(イスラム教徒)の人々が増え、24年時点でおよそ7000人に上るといわれる。その背景には、技能実習生の増加やIT技術者、留学生、大学の研究者が増えていることが挙げられる。ムハメド・トゥフィック会長は、「現在、北海道には札幌以外に江別市と小樽市にモスク(イスラム礼拝所)がありますが、近いうちに帯広と旭川にも開設される予定です。これまで日本ではイスラムの文化や生活は知られていませんが、私たちも積極的に北海道の地域のために貢献できるような活動を進めていきたい」と話す。

今回、札幌インターナショナルスクールの発表会を企画した北海道NGOネットワーク協議会は毎年この時期に国際協力フェスタを開催し、今年で27回目。約40団体のNPO(民間非営利団体)、NGO団体が加盟している。この日は、20の団体が出展し、活動をアピールした。「悲惨な戦争が繰り広げられている今こそ、ルーツや国籍、言葉や宗教を超えて平和のバトンをつなげたい。そんな思いで企画しました」(事務局)という。

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