トップ社会教育研究者から観察の“視点伝達”を

研究者から観察の“視点伝達”を

鳩貝太郎・全国学校飼育動物研究会長あいさつ

鳩貝太郎・全国学校飼育動物研究会長が、あいさつした。

3年ぶりに東京大学弥生講堂で行う予定(9月4日)であったが、新型コロナの変異株の拡大が収束せず、やむを得ずオンライン形式に変更した。Zoomによるオンライン開催することで、時間的な制約、遠方で参加が難しい方々にも参加していただくことができた。

今年のメインテーマを「学校飼育動物への関心を高め理解を深めるために~変わりゆく学校での飼育活動~」と題して講演をお願いした。幼稚園、保育園、こども園、小学校などで、2004年の鳥インフルエンザ発生により、飼育舎でのニワトリなどの動物の飼育が激減した。地域の獣医師などの支援が少ない所ではモルモット、ウサギなどの飼育も減少した。

近年は若い教員の動物飼育に対する経験不足、理解不足、それに加えて教員の働き方改革の動き、イヌやネコへの愛護精神の変化、夏の猛暑や冬の厳しい寒さ、気候変動による災害の多発など学校での飼育活動に大きな影響を与える事象が増えた。

今後の活動を継続的に行うには、学校や教職員、獣医師が背負っていくだけでは限界が見えている。獣医師と学校をつなぐパイプ、自治体の教育委員会、文部科学省の政策にも関わってくる。学習指導要領には書いているが、動物飼育に関する法的根拠、財政的な措置が必要になってくる。自治体の教育委員会などは、「ある程度出してあげましょう」というところもある。各地で“ばらつき”があり、今後の大きな課題になっている。

動物飼育において「かわいいね」だけで終わっては意味がない。動物園の飼育員や獣医師、動物飼育の専門家・研究者たちで根拠を持った、科学的視点に立った飼育を見詰め直し、動物がどう振る舞うのか、動物の側からの視点、快不快を含めた内面の動向などに関して視聴覚教材、テキストなども作成してもらいたい。情報通信技術(ICT)の技術を高め、観察の視点を大学や研究者から学校現場に提供されるような時代になってくると良いと思う。

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