トップ社会愛犬との避難、学びの機会に 横浜で体験型防災フェス

愛犬との避難、学びの機会に 横浜で体験型防災フェス

衛生面や鳴き声が課題

 災害時にペットをどう守るかは、命を預かる飼い主にとって大きな課題だ。アレルギーや衛生面などの問題から、ペットを避難所に連れて行くのはハードルが高い。特に犬の場合は鳴き声の問題もあり、避難所から出て行かざるを得ない事態も起きているという。屋内ドッグパークやドッグホテルなどの複合施設「WANCOTT」(神奈川県横浜市)は8月22、23両日、愛犬のための災害対策を考える体験型防災フェス「WAN THINK FES 2026」を開催。災害時も家族の一員である愛犬を守るため、何ができるのかを学ぼうと、大勢の飼い主が訪れた。(石井孝秀)

犬用の靴など、防災時に役立つペット用品を紹介するブース展示=8月22日午後、神奈川県横浜市(石井孝秀撮影)
犬用の靴など、防災時に役立つペット用品を紹介するブース展示=8月22日午後、神奈川県横浜市(石井孝秀撮影)

役立つペット用品紹介

 「人間より動物を優先するのか、と怒られるかもしれないが、飼い主にとってはペットも大事な家族。守るためには、自分たちで何とかしないといけない」

 イベント会場でブースを設置していた男性は、そう力説した。会場には防災を考えるきっかけにできるよう、人間と犬の両方が食べられるお菓子や犬の足を保護するための靴など、非常時に役立つペット用品のブースが並んだ。中には犬の歯磨きを指導するコーナーもあり、歯科医の指導を熱心に受ける飼い主の姿も。参加者はそれぞれブースに立ち寄りながら、実際に商品を試したり、ブース担当者との会話や情報収集に励んでいた。

 また、楽しみながら防災を学べる企画として、クイズ大会も行われた。スタッフが「同行避難という言葉がありますが、正しい意味はどちらでしょう」と問題を出すと、AとBの二つの選択肢が示された。

 Aが「飼い主とペットが一緒に安全な場所まで避難すること」、Bが「飼い主とペットが一緒に同じ場所で避難生活を送ること」で、正解は「A」だった。参加していた飼い主の多くはこの問題に正解していたが、クイズが進むにつれてだんだん脱落者も増えていった。

 最後に「愛犬の健康を守るため、防災バッグに入れておくべき水は?」という問題に対し、「ミネラルの少ない軟水」と正解を選ぶことができた回答者には、賞品が贈られた。ミネラルの多い硬水を犬に与えると下痢になったり、尿路結石などを引き起こす可能性があるのだという。

不安定な足場歩くチャレンジも

不安定な足場を再現したアスレチックに、飼い主と一緒に挑戦する犬=8月22日午後、神奈川県横浜市(石井孝秀撮影)
不安定な足場を再現したアスレチックに、飼い主と一緒に挑戦する犬=8月22日午後、神奈川県横浜市(石井孝秀撮影)

 クイズのほか、注目を集めたのは飼い犬がアスレチックに挑戦するコーナーで、でこぼこ道やトンネルなどで被災時の不安定な足場を再現。飼い主は愛犬と共にその道を通り抜けるチャレンジに取り組んでいた。

 さらに避難時に役立つ訓練として、飼い主の「待て」の指示を一定時間守ったり、クレート(犬用の個室)に入るというトレーニングに挑戦するコーナーも用意された。

NPO法人、飼い主は避難所での環境づくりを

◇1ヵ月乗り切る

 専門家によるトークセッションも行われ、犬や猫の保護活動を行うNPO法人SPAの斎藤鷹一代表理事は「ドッグフードの小袋だけでなく、大袋を少なくとも一つは自宅に置くのがいい。1カ月乗り切れれば、必ず支援の手が回ってくる」と強調。一方で、避難所に入れたとしても、能登や熊本などの被災地では、犬が飼い主と共に追い出されてしまうケースがあったとしつつ、「飼い主はマナーウェア(犬用のおむつ)を用意したり、スペースが限られるため狭い場所でもおとなしくできる練習を事前にしておくなど、(避難所の中に)環境をつくってあげることが大切だ」と話した。

トークセッションに出席したNPO法人SPAの斎藤鷹一代表(左)と横浜市会議員で獣医師の越久田記子氏(中央)=8月22日午後、神奈川県横浜市(石井孝秀撮影)
トークセッションに出席したNPO法人SPAの斎藤鷹一代表(左)と横浜市会議員で獣医師の越久田記子氏(中央)=8月22日午後、神奈川県横浜市(石井孝秀撮影)

 横浜市会議員で、獣医師の越久田(おくだ)記子氏も出席し、「災害時は動物もパニックになる。まず人間側が落ち着くのが大事」と指摘した上で「動物のため、まず人間が自分事として捉え、防災の備えについて知ってほしい」と訴えた。

歯科医をの指導を受け、指を使って愛犬の歯を磨く飼い主=8月22日午後、神奈川県横浜市(石井孝秀撮影)
歯科医をの指導を受け、指を使って愛犬の歯を磨く飼い主=8月22日午後、神奈川県横浜市(石井孝秀撮影)

 イベント参加者の一人は「最近、地震や大雨が多くてとても心配だ。人間用だけでなく、ペット用の防災バッグなども販売していれば助かるのだが」と、愛犬を見つめながら心配そうに話していた。

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