文藝評論家で一般社団法人「日本平和学研究所」理事長の小川榮太郎氏による特別講演会「世相を斬る」が1日、仙台市内で開かれた。小川氏は安倍晋三元首相の暗殺事件から4年余りを振り返りつつ、政治情勢や世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)解散を巡る問題について語った。(長野康彦、写真も)

冒頭、小川氏は安倍元首相への思いに触れ、「今でも時々、安倍さんの夢を見る」と率直な心情を明かした。事件から4年余りが過ぎた今も、その存在の大きさは自身の中で変わることはないという。
国会は事件の真相究明を
小川氏は、安倍氏の弔問で昭恵夫人と交わした言葉を紹介した。「主人は戦死したんですよね」と語る昭恵夫人の言葉について、「日本を取り戻そうとした政治家の生涯を象徴する表現」と受け止めていると語った。
また、暗殺事件については「不可解な点は多い」としながらも、「真相究明は本来、国会が責任を持って取り組むべき課題だ」と訴えた。
安倍政権後の政治について小川氏は、岸田文雄元首相が金融政策などで安倍路線を維持した点を評価する一方、「岸田降ろしは財務省の影響が大きかった」との見方を示した。また、石破茂前首相については、自らが「石破降ろしの先頭に立ってきた」と振り返り、「反安倍だけで政治をしてきた人物」と厳しく評した。
一方で、高市早苗首相には強い期待を寄せた。皇室典範改正への取り組みが「大変大きな功績だからこそ激しい批判を受けている」と指摘。「政権幹部は本当によくやっている」と語り、保守政治が新たな段階に入りつつあるとの認識を示した。
また、小川氏は安倍氏の人柄についてもエピソードを交えながら紹介した。「反安倍だった人でも、一度本人と話をすると『こんなにいい人とは知らなかった』とみんな寝返る」。多くの人から慕われた安倍氏の人間的魅力を振り返りながら、「日本をつくり直そうと命を懸けてきた。その立場から見ると、国会や政党が正常化してくれたのは本当に楽だ」と感慨深げに話した。
一方、皇室典範改正法案が先月、参議院本会議で可決・成立したことについて、小川氏は、賛成が圧倒的多数を占めたにもかかわらず、読売新聞や日本経済新聞を含む大手メディアがこぞって反対姿勢を示したと指摘。「民意の政治が正常化し、逆に問題があぶり出された。マスコミには、強引に民意を無視してでも(世論を)誘導する勢力があることが分かった」と述べ、「ここから次の戦いのステージに入る」と強調した。

教団解散は同調圧力
講演の後半では、家庭連合を巡る一連の問題に多くの時間を割いた。
小川氏は、教団への解散命令請求や司法判断について、「単なるいち宗教法人の問題ではなく、日本の法治国家としての在り方が問われている」と位置付けた。これまで有識者として意見書を提出してきた経緯にも触れ、「最初は距離を置いて外側から見ようと考えていた。しかし調べれば調べるほど驚くことばかりだった」と述べた。
特に、非公開の法廷で十分な審理が行われないまま手続きが進んだことや、教団施設への対応について強い危機感を示した。「警察も動員して、まるでガサ入れ。ここまでの権力行使が本当に正当だったのか」「司法が宗教教義の内容にまで踏み込むことは近代国家では極めて異例だ」と語り、信教の自由という憲法上の価値について改めて考える必要があると訴えた。
さらに、司法や行政だけでなく、マスメディアの姿勢にも言及した。「日本社会はいま『ゆでガエル』のような状態になっている」と表現し、同調圧力の中で異なる意見が表明しにくくなっている現状を懸念した。兵庫県政を巡る報道なども例に挙げながら、「巨大な陰謀があるというより、社会のエリート層が責任を果たさなくなっていることが問題だ」と分析。「裁判所や文科省が腐敗している。それを象徴するのが今回の解散命令だった」と述べ、「三権分立であるはずの国家権力が同じ方向を向いてしまえば、それは極めて危険な兆候だ」と警鐘を鳴らした。
「家庭連合問題は、宗教団体だけの問題ではない。日本の憲法や信教の自由、人権を考える問題として社会に問い掛けていかなければならない」と述べ、今後は有識者による憲法論議をさらに深めていく考えを示した。
講演の最後、小川氏は「この4年間で何かが育った。そして今年7月からそれが花開き始めた」とした上で、「8月1日、きょうは皆さんと新しいスタートを切る日になった」と語ると、会場は大きな拍手に包まれた。
講演会は、日本の未来を考える会(安藤哲夫会長)が主催し、宮城県平和大使協議会と国際勝共連合宮城県本部が共催。会場には約450人が集まった。







