「憤り感じる」と清掃参加者ら
世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散命令が決定し、教団や関連団体への風当たりが強まっている。埼玉県所沢市の環境美化事業に参加していたボランティア団体「APTF所沢」は、4月から同事業の登録団体として活動ができなくなった。昨年9月の市議会定例会で共産党市議が教団の友好団体であるとして問題視したため、同市環境美化事業に参加する団体登録の更新が認められなかった。団体の代表者は「公的機関が悪いレッテルを貼ってくることに憤りを感じる」と訴えた。(石井孝秀)

所沢市では環境美化活動「アダプト・プログラム」を実施しており、道路や公園、河川などで清掃美化活動に取り組む市民団体を市が支援している。ごみ袋など清掃用具の支給のほか、活動中の事故などへの総合補償制度を受けることもできる。この事業への参加を希望する団体は、市長と「活動に関する合意書」を取り交わすことで登録される。
教団の友好団体である「APTF」(真の家庭運動推進協議会)の支部「APTF所沢」は、2009年5月から月に1度、駅前や公園などの清掃を始めた。「アダプト・プログラム」には10年に登録。15年以上にわたり問題なく活動してきた実績がある。代表の相馬正美さんによると、参加者のほとんどは教団信者であるものの、勧誘などの宗教活動を目的としたものではなく、これまでクレームなどの報告は市側にも挙がっていないという。
共産市議になびく
しかし、昨年9月に行われた所沢市の定例会では、「APTF所沢」が議題に上った。日本共産党所沢市議団の花岡健太議員はAPTFのホームページに掲載された団体の目的から「文鮮明夫妻の教えに基づく理想の実現を目的としている」と強調。「アダプト・プログラム」の実施要綱の団体資格には、政治活動や宗教活動を目的としないことが定められているとした上で、この団体が「重大な要綱違反である可能性がある」と指摘。花岡議員はさらに「正体を隠して勧誘を行っていたのではないか」「(旧統一教会の)関係団体に、行政がお墨付きを与えるということは本当に許されない」などと述べた。
所沢市の道路維持課から、ボランティア活動の団体登録の更新ができないと、相馬さんに連絡があったのは今年3月のことだった。更新できない理由を文書で通知してほしいと求めたが、市側は応じなかった。

申請書の提出自体は問題ないと聞いた相馬さんは、改めて詳細を聞きたいという思いもあり、4月に市役所へ申請書を提出。その際、改めて文書での説明などを求めたが、対応した市職員は「活動には感謝している」としつつも、「アダプト・プログラムは市と団体との私的な契約。市が『合意を継続しない』と一方的な意思表示をすれば、もうそれだけで十分だ。納得いかないのは分かるが、その理由を明らかにする必要はない」と断った。
家庭連合の関連団体であるという理由で登録が更新されないのか尋ねたところ、「APTFはホームページ上では旧統一教会とかなり関連性の強い団体と読み取れた」「所沢市としては宗教団体かどうかの判断が難しい」と指摘した上で「旧統一教会であることを理由に登録を継続しないわけではない」と主張した。
表向きは特定の思想を理由としたものではなく、「宗教的色彩が強い」ため市の要綱に抵触するという体裁だが、相馬さんは「それを文書で明確にせず、曖昧にするという事なかれ主義」だと感じた。申請に対しては6月、相馬さんへ市から留守番電話で「審査の結果、合意(登録)の継続はできない」との連絡があったという。
「普通の人」を排除
APTF所沢には信者以外の参加者もいた。同市に6月まで在住していたという50代男性は、同団体が教団の友好団体であることを知った上で活動に参加していたといい、「一緒に清掃活動をしてみると、ごくごく普通の人たちばかりだ。家庭連合についてネガティブなイメージを持っている人は、おそらく現役の信者さんとお付き合いしたことがない人たちなのではないか」と述べた。さらにボランティアが登録不可となったことについて「書面による登録打ち切り連絡があれば、市長に一市民として抗議のメールを送ることはできるが、電話連絡という実態のないことに対しては抗議しづらい」と嘆いた。
相馬さんは「登録は認められずとも、引き続き清掃活動は行っている。新たな出発としたい」と話す一方で、「こういった排除の動きは、ほかの地域へ波及するかもしれない。家庭連合だけでなく、宗教活動自体に対する偏見があると感じ、もっと行政は慎重に判断すべきだったのでは」と懸念した。






