世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対して東京高等裁判所が解散を決定したことにより清算手続きに入り、5月20日から1年間の債権申告受け付けが始まった。一方、オークションサイトやフリマサイトから家庭連合関連グッズの出品や落札が活発に行われ、万単位の高値で売買されている。返金目当ての〝証拠〟にされる可能性もあり、債権申告との関連が疑われる。(信教の自由取材班)

清算人が公表した報告書によると、教団からこれまでに少なくとも400億円の預貯金を保全したという。「家庭連合清算人のホームページ」には債権申告のマニュアルが公開されている。債権申告は教団信者・元信者だけでなく、親族(宗教2世と呼ばれる信者・元信者の子供)、関係者のほか、死亡した信者の相続人らが対象となる。
「債権の認定は厳密に行われるべき」元教団広報
「一信徒の立場からすると、返済の原資は信徒らが深い思いを込めて善意で行った尊い献金である以上、債権の認定は厳密に行われるべきものと考える」。債権申告が開始されたことについて教団元広報関係者は感想を述べた。
オンライン用の「債権申出システムマニュアル」はA4用紙で77ページ、「書面申出用の記載要領」は同60ページに及ぶもので、細かい記入項目が幾つも並ぶ。例えば教団での活動歴を所属教会(複数なら複数)、活動した期間、関わりのあった人物名、初めて教会に行った時期、関与したきっかけ、そのほかの活動など詳細に記述しなければならない。
これを親族、関係者など本人以外の教団で活動したことのない人物が正確に記述できるかは疑問だ。ただ、申告は弁護士に委任できる上、委任した弁護士の費用まで請求できる。この点で懸念されるのは、死亡した信者、あるいは高齢で介護施設に入所した信者について関係者が申請事務を委任し、紋切り型の申請がされて認定されることだ。
本紙は文部科学省が教団に解散命令請求をした際に提出した証拠に捏造(ねつぞう)があることを既報した。取材の過程で90歳を超えた高齢の信者が信仰を持っているにもかかわらず、自分が教団に導いた子供から「そそのかされて」入信したなど、あべこべの証言となって裁判所に提出された例、家庭連合とは別の宗教団体の人物が被害を訴え出て証拠に加えられた例など、実にずさんな実態を明らかにした。
また、「債権申出システムマニュアル」「書面申出用の記載要領」には「物品購入」の欄があり、その代金、購入方法、購入した現物の画像など一切の資料の提出を求められる。果たして教団で購入した物品とは何なのか。教団の高額献金批判でマスコミに取り上げられる大理石製品だが、教団元広報関係者は「大理石製品は献金とは何の関係もない」という。かつて信者が経営した会社が販売した壺(つぼ)、多宝塔などの製品が当たるようだ。一方、豪華な装丁の経典については「献金に対する感謝の記念品」ということだった。
本紙が関東の郊外に住む信者から得た情報によると、教団の熱心な信者が高齢化し、いわゆる終活で教団からの「献金に対する感謝の記念品」をどうするか持て余す事例があるという。これは教団が解散命令の俎上(そじょう)に載せられた安倍晋三元首相銃撃事件以前からの現象で、大手リサイクルショップで大理石製品を目にすることも信者の間で話題になったとのことだ。
元信者が「記念品」引き取り出品か
また、最近、後期高齢者の女性信者の家に元信者が突然訪ねてきて、そのような「記念品」を持て余していないか、数万円で引き取る人がいる―と持ち掛けられた。女性信者は「特にない」とあしらったという。
オークションサイトのヤフーオークション、フリマサイトのメルカリで検索してみると、教団の説教集「天聖経」「6大教本」など「記念品」が多数出品され、多数が落札されている。万単位の落札額も少なくない。「信仰の証なので、こういうところで信者は購入しないだろう。普通ではあり得ない」(教団関係者)。これらが債権申告に必要な「一切の資料」に加えられないか。本物ではない債権申告が行われかねない。
東京西バプテスト教会牧師の黒瀬博氏は本紙への寄稿で次のように指摘した。
「宗教法人法49条の3に書かれている債権とは、本当の債権のことだ。…中略…その後の混乱も予測できる。家庭連合の会員でない人物が偽計を使って献金の返還請求をしてくることが予想される」






