家庭連合解散 高裁決定

世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する解散命令の最大の問題は、それに続く財産没収の規定だ。私は当初、解散命令とは宗教団体の宗教法人格を取り上げるだけだと思っていた。そういう解釈が横行していたからだ。つまり、固定資産税などの免税特権は奪われるが、宗教団体は存続するわけで、その団体の宗教活動は続けられると思ったのだ。宗教法人法第1条で信教の自由は尊重され、宗教活動を制限するものと解釈してはならないと述べ、宗教法人だけではなく、宗教団体も財産を所有することを認めている。つまり、その帰結として解散後も財産は残るのが当たり前だと思っていた。
ところが、第50条に残余財産の処分の規定が設けられており、この規定があることを当初私は知らなかったが、これは文面上第1条に矛盾する。第1条は宗教団体は解散命令後も宗教団体であることには変わりないわけで、財産を持つ権利があるとしている。ところが、第50条では残余財産は処分されるという。法律制定者の立場になって考えてみると、おそらくこれは信徒のいなくなった、いわゆる幽霊宗教団体の解散を念頭において作られた条文ではないだろうか。だから、財産処分が必要となり、その手続きとして、まずは規約に基づいた処分、それでも残余財産がある場合には国庫に帰属すると規定することには合理性がある。
ところが家庭連合の場合は資産が500億円もある活動中の団体だ。であるから、宗教法人法第50条ではなく第1条を適用して、宗教法人の法人格だけを剥奪するという当初の結論にとどめるべきではなかったか。そうでないと憲法の規定する信教の自由を侵害することになる。ところが東京地方裁判所の決定も、同高等裁判所の決定も、宗教法人法の条文を誤読して、憲法と宗教法人法の精神をねじ曲げて、とんでもない決定を下してしまった。
確かに宗教法人法の文章に曖昧なところがあったとは言える。しかし、「著しく」とか「明らかに」という表現を使って歯止めをかけようとしていることは読み取れる。それをあえて無視したのは裁判所の責任であり、この裁判を起こした文部科学省の責任なのだ。
不当な決定だから、その結果も不当なものになることが予想される。
すでにその兆候が表れている。まずは清算人が債権申し出の受け付けを始めたことだ。宗教法人法49条の3に書かれている債権とは、本当の債権のことだ。つまり、その宗教団体に貸し付けられた資金のことだ。貸してあるので債権になるのだ。献金は貸し付けられた資金ではないから債権ではない。
しかし、清算人は献金を債権と認定するかのようなニュアンスで債権者を募っている。今後、清算人がどういう法的論理で献金を債権に含めるかは注視していかなければならない。
その後の混乱も予測できる。家庭連合の会員でない人物が偽計を使って献金の返還請求をしてくることが予想される。その場合、会員であったことの証明がないままに返還請求を認めるつもりだろうか。また、過去に本当の会員だった人物からの返還請求があった場合、どう対処するのだろうか。その献金が強制によるものかどうかなど判断のしようがない。また、現在の会員からの返還請求の場合はどうするのか。その他、いくらでも混乱の種はある。
国が泥棒を働くことに
また、最終的に残余財産が出た場合、教団の取り決めにより天地正教に引き渡すことになるが、果たしてそれが正当なことなのかどうかはかなり問題だ。有象無象の人物が財産を狙って入会してくるかもしれないから、それを天地正教が阻止できるかは未知数だ。また、そうならないように、残余財産を少なくするために、清算人の給与を高くし、弁護士やその他の諸経費を増やして、何年も手続きを続ければ、自然に財産はなくなる。
もし、天地正教に引き渡すことをやめるなら、さらなる問題が生じる。それは残余財産を国庫に入れることになるからだ。これは宗教の財産を奪うことになるので、国家が泥棒を働いたことになり、倫理上の大問題となる。私としてはそうならないことを祈るしかない。
民法上の不法行為によりその会社の資産が国庫に入ることなど考えられない。民間会社を例として考えるとよく分かる。社員が不法行為を行ったので、それは会社の責任であるということで、会社に対して解散命令が下されたとしよう。すると、清算人が現れて、債権者を探し、負債を支払う。しかし、通常の破産ではないので、残余財産が残る。それを国家が没収したとしよう。そういうことは実際には起こらないのだが、今回の解散命令ではそれが起きる可能性があるということだ。
結局、このような混乱の原因は文科省が解散命令を裁判所に請求したことにあるわけで、もっと妥当なやり方があったはずだ。つまり行政指導でよかった。このような不当な結末を招いた文科省の責任は絶大で、いずれ天の声として文科省に対する解散命令が下ることになるだろう。天の秩序を甘く見てはならない。





