
東京高等裁判所が世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散命令を維持する決定をして2カ月が過ぎた。この間、教団は最高裁判所に特別抗告し、信者から抗議の声が上がる中、海外のキリスト教牧師や教団の信者が来日し、日本政府の対応に異議を唱えると共に、日本の教団信者を励ます動きが相次いだ。(石井孝秀)
「難しい状況で、日本の2世たちが勇気を持って頑張る姿に感動している。どうしてこんなことが起きたのか、米国から見ても考えられないことだ」
率直な思いを語るのは約40年、米国で過ごしてきた2世信者のウシロダ・ナオキミ(後田直君)さんだ。日本の宗教法人解散の報を受け、米国家庭連合の2世信者らが4月末、キリスト教牧師と共に約100人来日。同企画は米国側が2週間ほど前に考案したもので、米国信者らの支援を受けて実現したのだという。来日した2世信者の中には日系人も多く含まれており、米国籍のウシロダさんも両親は日本人。「米国にも日本人信者が多く、日本を応援したい気持ちが強い」と話す。
米国2世信者らは4月29日、日本の2世信者らでつくる「信者の人権を守る二世の会」のメンバーと共に東京・渋谷で集会を開き、意見交換やパネルディスカッションを行った。多くのメンバーは「FAITH FREEDOM PEACE」と記された白いシャツに袖を通し、信教の自由を求める決意を新たにしていた。

パネルディスカッションの中で、米国人メンバーのジニル・フライシュマンさんが「日本の信者はこの現状の中、どのように信仰を持ち続けているのか」と質問を投げ掛けると、同会メンバーの倉橋紗弥香さんは「信仰は変わらないし、今まで築いてきたコミュニティーや信者同士の関係性も変わらない。それを維持していきたいと、日々その思いで頑張っている」と回答。小嶌希晶代表は「今回の出来事を通して、日本の2世たちは『なぜ信仰しているのか』『どうして神様を信じているのか』と真剣に考える機会になった」と意見を語った。
同集会には米国のキリスト教牧師ら5人が出席し、それぞれの立場からも見解を述べた。
ネバダ州から来日したロン・トーマス司教は、日本政府の判断に「強い衝撃を覚えた」と吐露。その上で、会場の2世信者らに「聖書の歴史を振り返れば、迫害は常に教会の拡大と成長の契機となってきた。教会が試練に直面するたび、神の摂理は前進してきた」と激励した。
ワシントンから同集会を訪れたエドワード・バーネット司教は、解散できるのは法人としての〝事業体〟だけであると指摘。「教会そのものは紙の上でつくられた組織ではなく、神の霊によって生まれた存在であり、決して解散させられることはない」と強調した。
さらに同司教は、「宗教の自由とは制限されることのない神へのアクセスの権利。それは譲り渡すことのできない超自然的な権利であり、礼拝し、賛美し、祈り、教え、学ぶことを誰にも妨げられずに行える自由を意味する」と呼び掛けた。
その後、米国の2世信者らは日本の2世信者を中心とした遊説団体「NABI(ナビ)」と共に、渋谷駅前で街頭演説を開始。集まったメンバーはハート形の赤い風船を手に持ち、祝日で大勢の人が行き交うスクランブル交差点前で、それぞれの主張を訴えた。
ある米国の2世信者は「私たちを黙らせようとする力があることは承知している。しかし、私たちは沈黙しない。私たちは声を上げ続け、祈りを絶やさない」と力を込めた。また、別のメンバーは「私たちは日本社会の人々の中に残る冷たい心を解かし、家庭連合の本質を理解してもらえるよう、あらゆる努力を成し遂げたい」と英語で祈りを捧(ささ)げた。
ナビの影山権龍代表は、司法による教団解散の判断を受けて、信者らが日本社会でさまざまに否定的な対応をされていることに触れた一方、「代わりに多くのものを得た。それは信仰に対する誇りだ」と強調。さらに米国から多くの信者が来日したことについて「僕たちは決して一人ではないと実感した。どんなに国から迫害され、宗教弾圧されたとしても信仰は変わらない」と強い声で訴えた。





