トップ社会【NEWSクローズ・アップ】法人格剥奪は信教の自由奪う 家庭連合解散命令は違憲無効 石埼学・龍谷大学教授が問題視

【NEWSクローズ・アップ】法人格剥奪は信教の自由奪う 家庭連合解散命令は違憲無効 石埼学・龍谷大学教授が問題視

龍谷大学の石埼学教授が最高裁に提出した家庭連合の特別抗告についての意見書
龍谷大学の石埼学教授が最高裁に提出した家庭連合の特別抗告についての意見書

 世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する解散命令は、単に宗教法人格を失うことにとどまらず、信教の自由や結社の自由を奪う重大な人権侵害になり「違憲無効」だ。こう警鐘を鳴らすのは、憲法学が専門の石埼学・龍谷大学教授。29㌻にわたる最高裁判所宛の意見書の中で、不確実な根拠での解散決定や非公開裁判も問題視している。(信教の自由取材班)

 「清算人は、清算法人の財産の管理、処分にあたっては、清算事務に支障のない範囲で、その必要性の程度等も考慮して信者らに施設の利用を許諾(きょだく)する等、現に存在する宗教団体の信者らの信教の自由に配慮をすることが望まれる」

 昨年10月に文部科学省が策定した清算指針は、宗教法人格を失っても信者の信教の自由が保障されると説明していた。しかし、信者に待ち受けていたのは、信仰の拠(よ)りどころである教会への出入り禁止であり、礼拝や祈りの場を奪われるという現実だった。

解散命令は「宗教団体の法人格取得権」制約

 石埼氏は、宗教法人への解散命令は「宗教団体の法人格取得権」という憲法上の権利の制約に当たると指摘。だからこそ、解散命令という国家の介入に対しては、極めて慎重で限定的な判断が必要だと訴える。法人格取得権は、結社の自由(21条1項)や信教の自由(20条1項)に含まれる憲法上の権利であり、法人格がなければ結社の自由が制限されると主張する。

 法人格取得権を論じるに当たり、石埼氏は「国家」と「個人」という二者の関係だけではなく、宗教団体、民間非営利団体(NPO)、地域団体、市民団体など「中間団体」を含めた三者で考えることの重要性を説く。

 自身のX(旧ツイッター)に「結社の法人格取得権を最高裁が否定した場合、我が国の結社一般に与えるダメージは大きく、また憲法の理解として国家・中間団体・個人の三極構造を否定することを意味するから影響は重大」と書き込んだ。石埼氏の主張はXでニューストレンド入りし、特別抗告での争点となることを期待する書き込みが目立っている。

最高裁判所

 1995年に地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」(宗教法人法81条1項1号)ことが解散要件となった。その際、「法人格がなくても宗教団体として存続できるため、解散命令は信教の自由を制限しない」と明示された。しかし、現実には法人格の剥奪(はくだつ)は、施設・備品の保有や第三者との取引を困難にし、団体の活動を事実上強く制約するものだったと、石埼氏は指摘する。

推測で違法性を認められない

 一方、刑事事件を起こしていない家庭連合に対して東京高裁は、公共の福祉を著しく害する「可能性がある」とした漠然とした危険をもって「明らかな」危険性と認定した。教団が2009年に「コンプライアンス宣言」を出した後の「不相当献金等勧誘行為」の「件数や被害額は必ずしも明らかではない」としている。

 石埼氏は高裁が推測で教団の違法性を認めることは「憲法解釈の誤り」と断じる。「将来の危険性」や「推測」などのあいまいな基準をもって国家が団体の法人格を容易に剥奪できる前例となるからだ。宗教団体に限らず、NPOや市民団体などあらゆる団体の自由を脅かすことになりかねない。

非公開審理は憲法違反

 加えて、家庭連合の解散が「非訟事件」として扱われ、審理が公開されないことも問題視している。解散によって法人格取得権という憲法上の権利が制約されることを踏まえると、「性質上純然たる訴訟事件」とすべきであり、現行の扱いは裁判の公開を求める憲法82条1項に違反すると主張している。

 石埼氏はXで、特別抗告で法人としての権利が確立されれば、宗教団体だけではなくさまざまな結社の活動が憲法で保障されると指摘。

信者に対して「自らの信仰を守るためだけではなく、我が国の憲法の運用をよりよくしうる立場にいる」とし、「『宗教団体の法人格取得権』を憲法上の権利と最高裁に認めさせるために頑張ってほしい」と激励した。

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