トップ社会【連載】信仰の寄る辺を求めて 家庭連合解散から1カ月(3)教会失い87%がショック

【連載】信仰の寄る辺を求めて 家庭連合解散から1カ月(3)教会失い87%がショック

 「事件直後に全く私たち現役信者の声が聞かれない。元信者ばかりが国会に呼ばれて、当時の総理大臣と会い、記者に囲まれている。何万人もいる現役信者の声は一切聞かれない」

 「信者の人権を守る二世の会」代表の小嶌希晶さん(30)は3月26日、記者会見で涙ぐんで声を詰まらせた。小嶌さんは、安倍晋三元首相の銃撃事件の影響で政治家から関係断絶され、社会から排除されていることに危機感を抱き、二世の会を立ち上げ、シンポジウムや動画配信サイトのユーチューブなどで現役信者を代表して発信をしている。以来、笑顔を絶やさずにいたが、約3年半の苦しみや悲しみの思いがあふれ出たのであろう。

信者の人権を守る二世の会の小嶌希晶代表(左)に寄り添うノンフィクション作家の福田ますみ氏=3月26日、東京都千代田区(豊田剛撮影)
信者の人権を守る二世の会小嶌希晶代表(左)に寄り添うノンフィクション作家の福田ますみ氏=3月26日、東京都千代田区(豊田剛撮影)

 教団の職員1933人とその扶養家族2441人、合計4374人が、解散命令によって生計の手段を奪われるとみられており、生活面での影響も心配される。記者会見では2世職員らが近況を報告した。

 教団職員の今中誠真さん(30)は「今後、転職も視野に入れているが、履歴書に団体名を書くだけで就職の機会が制限されてしまうのではないかという不安がある。信仰を理由に区別される世の中ではなく、ひとりの人間として公平に見られる社会であってほしい」と訴えた。現状としては、「心の不安を全てサポートしてくれているのは、有識者の方々や教会の方々だなと思う」とも話した。

 教団職員の2世信者カップルも共に登壇した。女性は「私たちはちょうど入籍を目前にしていたが、家や仕事の問題など、家庭や経済をこれからうまく維持してやっていけるのか、不安がある状況」と述べ、解散によって人生設計に影響があったと強調した。

 二世の会は、解散後の信者の被害実態のアンケート調査を3月8~16日まで行い、10~80代の延べ2240人から回答を集めた。アイデンティティーが否定される恐怖だけでなく、就職・子育てにおける差別的な扱いに直面していることが浮き彫りになった。東京高等裁判所決定前に早期退職した教団職員の手続き書類が届くのが遅れ「健康保険や失業保険の手続きができず、病院にも行けず、生活できない」という訴えや、宗教2世を理由に解雇された例も報告されている。

 清算手続き開始に伴う影響を尋ねると、全員が「教会で礼拝できない」と回答。それに対して87%が「ショック」と答え、約6割が「礼拝を失ったことで精神的苦痛を感じている」ことが分かった。「精神的苦痛により自殺を考えた・自殺未遂をした」人が35人もいた。

 自由記述には「国家権力によって権利を奪われたことで、『生きてはいけない』と言われているようで、この国や人生に希望を持てず、生きていてもしょうがないという気持ちになった」という精神的に追い詰められた報告も寄せられている。「救い」を求めて入信したにもかかわらず、国家に信仰の寄る辺を奪われてしまった形だ。

 教会における重要な儀礼である聖和式(葬式)や祝福式(結婚式)など冠婚葬祭ができない、または実施できるのか不安に感じているという回答は約3割だった。

 「3月4日に聖和された(亡くなった)方がおられて、判決3時間後には清算人が突然訪ねてきて、着の身着のままで退出するように言われたため、聖和式(葬儀)関連の祭祀用具を何も持ち出すことができなかった」。解散が決まった当日、亡くなった信者の聖和式ができなかったケースもあった。

 小嶌さんは、記者会見をこう締めくくった。

 「これからも私たちの不足している部分を少しずつ改善しながら、前進していきたい。建物がなくなっても信者自体はいなくならないし、信仰自体はなくならないので、今後もどうすれば日本の国民の皆さまに受け入れてもらえるのか、『日本にいていいよ』と言ってもらえるのか、模索したい」

(信教の自由取材班)

【連載】信仰の寄る辺を求めて 家庭連合解散から1カ月(1)

【連載】信仰の寄る辺を求めて―家庭連合解散から1カ月(2)

【連載】信仰の寄る辺を求めて 家庭連合解散から1カ月(4)

【連載】信仰の寄る辺を求めて 家庭連合解散から1カ月(5)

【連載】信仰の寄る辺を求めて 家庭連合解散から1カ月(6)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »