トップ社会家庭連合解散「袴田巌さん以上に苦しめられるのか」 有識者が会見

家庭連合解散「袴田巌さん以上に苦しめられるのか」 有識者が会見

 世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散を巡り、現役2世信者らでつくる「信者の人権を守る二世の会」と弁護士や学者らが立ち上げた「公平・公正な裁判を求める有識者の会」(有識者の会)は26日、都内で記者会見を開いた。以下は、有識者の発言要旨。

「高裁は根拠なく強引な断定」 
有識者の会呼びかけ人代表・国際弁護士 中山達樹氏

 家庭連合の不法行為の成立は、2009年のコンプライアンス宣言後、ほとんどない。397分の1に減った。しかし、東京高裁の決定では、不法行為を「確実に認定できない」と言っておきながら、いつの間にか「不法行為に該当すべき」などとすり替えて、根拠なく強引な断定をした。冤罪事件で無罪が確定した袴田巌さんはこの苦しみを58年間味わったのだなと思った。家庭連合はそれ以上に苦しめられることになるのだろうが、それでいいのだろうか。

「文科省の宣伝に基づく欺瞞」
弁護士 徳永信一氏

 高裁決定の最大のトリックは、教団の法人格をはく奪することが信徒らの信教の自由の侵害にならないという文科省の宣伝に基づく欺瞞(ぎまん)的な立て付けにある。しかし、信教の自由は内心の自由にとどまるものではない。信教の自由は人権の出発点と言われている。共に集まって信仰を確認しあう、コミュニティの行動が信教の自由の大前提にある。
 これに対し、カール・マルクスが「ゴーダ綱領批判」の中で宗教がアヘンだと批判している。宗教を社会的に封じ込める戦略的な宗教政策イデオロギーだ。高裁決定はこの価値観にとらわれたものだ。
 解散請求は法人格のはく奪にすぎないとして、非訟事件として非公開で進められた。文科省が提出した陳述書に偽造・捏造があっても、非公開の手続きであることを逆手に取って何の追及も受けることがなかった。これこそ司法の崩壊であり人権侵害であることは国際人権規約からみても明らかだ。
 どんなに巧みな人権の理論も手続き的な保証も、「蟻の一穴」とも言うべき誤りによってもろくも瓦解するもの。信じられない立法の不作為による憲法上の瑕疵(かし)がある。

「高裁は教義に踏み込んだ」
金沢大学教授 仲正昌樹氏

 東京高裁の決定文を読んで驚きだったのは、家庭連合の教義について独自の解釈を行い、それによって解散命令を正当化していること。教義をどう理解し実践するかは本人たち以外に知りえないことだから、法的には踏み込まず教義の評価に中立性を保つのが近代法の大原則だ。
 創価学会の板まんだら事件(1981年)でもオウム真理教の地下鉄サリン事件(1996年)でも教義に干渉していない。国家が、ある宗教団体の教義を当事者の意見を聞くことなく独自に解釈し、それに基づいて信者らの将来に重大な帰結をもたらす決定を行うのは、前近代のヨーロッパにおける異端審問の発想と同じではないか。かつて、大本教が解散を命じられたが、その時のように勝手な解釈で施設の破壊まで行ってしまうのではないかと危惧する。

「何が起こるか想像力を持って」 
文藝評論家 小川榮太郎氏

 「宗教法人の解散であって個々の信徒の信教の自由を何ら侵すものではない」と言われてきたが、これ(信者の被害)が答えではないか。これらの声の背後にさらに何万人もいると感じていただきたい。こんなレトリックを許したら、法人・会社はつぶしたけれど社員一人ひとりの人権を守ると言っても守れるわけがない。このレトリックを一度許したら何が起こるのかという想像力を家庭連合の一団体を超えて持ってほしい。

「信者と接した人は同情的」 
ノンフィクション作家 福田ますみ氏

 高裁の決定が出て、教団の清算が開始された後、教会を職員を取材して話を聞いた。私物を持ち出すために車を止めたくても駐車場すら使えなくて困っていたところ、長年、教会の駐車場を貸していた大家が、自身が管理するアパートの駐車場を使わせてくれたという。その際、「あなたたち何も悪いことをしていないのに、何でこんなことになっちゃったんだろうね。がんばりなさい」と言ってきたという。ほかの教会でも、信者と長く接してきた人たちは同情的だ。これが答えだ。

「根本は差別と排除」
著述家 加藤文宏氏

 家庭連合を巡る問題のそもそもの発端は安倍事件後の報道にある。安倍晋三元首相を殺害した山上徹也容疑者を「悲劇の宗教2世」と位置付けるナラティブができあがり、政治家の「ずぶずぶな関係」報道が2カ月以上も続いた。報道に触れた人々は、教団と政治の関係に激しい憎悪を掻き立てられた。
 しかし、実際に社会の空気と感じられていたものは、報道の猛々しさをのぞけば、国民のきわめて一部の熱狂が作り上げているものにすぎなかった。
 社会の空気に圧迫された岸田政権と自民党が矛先をそらすために、家庭連合の宗教法人解散へと舵を切ったのではないか。これは、ハンセン病の患者を解除したり、優生保護法を成立させたり継続して障害者への不妊手術を肯定した過去の報道機関、政治家、社会の態度と酷似している。解散命令に至るきっかけを作ったことは以上だったと言わざるを得ない。
 根本は差別と排除。信者に対する拉致監禁・強制棄教・思想改造が肯定され、過去に何千人もの人が被害に遭(あ)っている。今後、こうしたことがさらに肯定される可能性が高い。

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