
世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する宗教法人解散命令請求を巡る即時抗告審で東京高裁は4日、昨年3月に東京地裁の出した解散命令を維持する決定を下し、教団の即時抗告を棄却した。これによって教団は宗教法人格を失い、既に全国各地の教会で清算手続きが始まった。教団代理人の福本修也弁護士は、高裁前で報道陣の取材に応じ、「こんなことがあっていいのか。法治国家ではない」と述べた上で、最高裁に特別抗告する意向を示した。
三木素子裁判長は「信者らの信教の自由などへの影響を考慮しても、解散命令は必要でやむを得ない」とした。教団が2009年に法令順守を強化する「コンプライアンス宣言」を出した後の対策については「訴訟件数を減らして問題を顕在化させないことに重点を置き、不十分だった」と指摘。信者らが宣言後も献金目標を達成するために不当な献金勧誘を続け、被害額は同水準で推移したと推認されるとした。
東京地裁は同日、清算人に第一東京弁護士会の伊藤尚弁護士を選任した。教団は任意団体として活動を続けられるが、税制上の優遇措置を受けられなくなる。
東京高裁の決定を受けて、教団側はホームページ上で「事実と証拠に裏付けられずに、証拠裁判主義に反して下された“結論ありき”の不当な判断」と反論。22年7月に教団へ打撃を与えようと、安倍晋三元首相を暗殺した山上徹也被告の願望を国家ぐるみで叶えたとして「新たな政治テロを誘発すると同時に、国際社会における日本の信用を失墜させる」と批判した。
さらに、同決定によって教団信者が「差別や偏見に怯え、身を潜めて生きて行かざるを得なくなるのではないかと深く憂慮し、慚愧に堪えない」と懸念を表明した。
文部科学省は23年10月に東京地裁へ解散命令を請求。同省は当初、法人として刑事罰のない家庭連合は解散の対象にならないとの見解を示していたが、22年10月に岸田文雄首相(当時)が国会答弁で突然、解散命令請求の要件に「民法上の不法行為を含める」と解釈変更を行った。
同省の解散命令請求を受け、東京地裁は昨年3月、「約40年もの長期間にわたり、類例のない膨大な規模の被害を生じさせた」として、民法上の不法行為を根拠とした初の解散命令を決定。不当な献金勧誘などによる被害は1559人、計約204億円に上ると認定した。
即時抗告審で教団側は、集団調停への対応や補償委員会を第三者的立場の弁護士に依頼して設置するなど、被害を訴える声に対応しており、解散の必要性はないなどと主張。教団の不法行為の存在を裏付ける具体的事実はないと訴えていた。






