トップ社会【連載】家庭連合解散命令 地裁決定を検証する(3)不都合な事実を隠す東京地裁

【連載】家庭連合解散命令 地裁決定を検証する(3)不都合な事実を隠す東京地裁

東京地方裁判所が入る東京高等地方簡易裁判所合同庁舎(東京都千代田区)

 東京地裁(以下、地裁)の決定は、文部科学省の解散命令請求において、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)がコンプライアンス宣言(以下、コンプラ宣言)をした2009年以降の不法行為の「継続性」を検証していない重大な欠落部分を埋め合わせることに力を入れている。地裁はまず、後に物議を醸す恐れがある文科省の不都合な事実(主張や証拠)について、これを一切無視したり、理由も示さず別の主張にすり替えたりしている。

 前者の代表例が、文科省が新しく付け加えた元信者らの陳述書だ。文科省が解散命令請求の際に、新しく付け加えた証拠として大々的に発表した元信者ら261人分の陳述書だが、これに対し教団側は「意図的・組織的に虚偽事実を記載した捏造(ねつぞう)証拠が複数含まれている」と主張。

 一部の元信者は自ら語ってもない内容が書かれていると証言している。実は昨年12月、地裁で行われた尋問手続きでも、文科省提出の2通の陳述書に捏造疑惑があることが明らかになった。従って地裁は、これら陳述書の内容を、解散決定において理由も示さず無視せざるを得なかったのだ。

 後者の代表例が、文科省が家庭連合信者による三つの継続的な「法令に違反」する行為(不法行為)の筆頭に挙げた「未証し勧誘」だ。これは、信者が「教団の活動であることを秘して(原告らに)接触し、…原罪等の考えを教え込んだ」というもの。

 教団がコンプラ宣言において、「(信者が自主運営するビデオ受講施設等で)教育内容に統一原理を用いる場合、勧誘の当初からその旨明示するよう」指導しており、違反があれば明確な証拠を示すことができる問題だけに、不法行為の「継続性」検証には欠かせない項目であるはずだった。

 地裁が、教団・信者らの「不法行為」成立の判断基準としている「本件問題状況」も3項目からなり、第2、第3の項目は、文科省が挙げた「因縁トーク」と「不相当な高額の金銭を支出させる」ことを概(おおむ)ね踏襲している。

 ところが第1の項目は、教団信者が「入信前から自身や親族に、複雑な家庭環境、不幸な出来事、高齢等による判断能力の制約等があるなどの困難な事情を抱える者に対し(勧誘した)」という内容に変わり、「未証し勧誘」への言及はない。

 この第1項目は、内容的には第2項目「因縁トーク」の対象者に関する記述であり、別項目にすべき特段の理由はない。あえて言えば、文科省が三つの不法行為を挙げているのに、2項目にすると「未証し勧誘」外しが目立つことぐらいだが、もし「未証し勧誘」に継続性がないのであれば、その旨を明確に示すべきだろう。

 地裁はこのような準備の上で、文科省が無視したコンプラ宣言後の「継続性」と関連し、家庭連合の「法令に違反」する行為(不法行為)について、「(コンプラ)宣言の前と後に分けて検討」している。

 コンプラ宣言前の検証では、まず、文科省が何の検証もなく「被害」者としてカウントした①「訴訟上の和解」をした原告(94件419人、和解金合計約56億9120万円)と、②「裁判外の示談」の申告者(971人、示談金合計約125億2680万円)について、「合理的な推測として、…①及び②の合計人数に近い程度の人数について、本件判断基準の下でも…(教団)信者による献金勧誘等行為につき不法行為が成立すると認めることができ(る)」(決定文76ページ)と主張する。

 教団によると、裁判所が和解を勧告した案件も少なくないという。和解を勧めた裁判所側が後から「あの時、教団信者に不法行為があった」と追認するようなことが許されるなら、日本の司法の信頼性が揺らぐ。(信教の自由取材班)

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