

文部科学省の世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する解散命令請求の第二の問題点は、解散要件の特異な解釈だ。
文科省は、宗教法人法の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」(81条1項1号)との文言について、「現在性を要求しているとはいえない」などと解釈。条文末が「した」と過去形であるためなのだろうが、解散命令可否の判断は「過去の法令違反事実の存在をもって足り、その後改善傾向が認められるか否かや再発のおそれの有無までは問わないというべき」だとまで言い切っている。
文科省のこうした主張は、東京地裁決定文の「申立人の主張の要旨」に明記されているが、文化庁が公表した「宗教法人世界平和統一家庭連合の解散命令請求について」(2023年10月12日、記者配布)には記されていない。地裁が基礎的な事実関係で間違いを書くとは思えず、この文言は文科省の実際の主張であるはずだ。
とすれば、これは、大部分が数十年前の「法令違反事実の存在」(民事裁判の判決)をもって家庭連合は解散要件を満たすという主張だ。解散要件の条文の文末が「行為をした」という過去形であることを根拠に、2009年の教団のコンプライアンス宣言(以下、コンプラ宣言)後の改善努力について最初から無視を決め込む姿勢を明確にしたもので、「解散ありき」の牽強(けんきょう)付会の論法だ。
文科省の発表をそのままメディアに流した記者たちは、このような主張を知っていたのだろうか。また、宗教法人審議会は、このような主張を知った上で、「解散命令請求は相当であるとの全会一致の意見だった」(同日、盛山正仁文部科学相=当時)のか。多くの宗教者の委員たちが「異論を言わず賛成したのも信じられない」「恐怖を覚えた」と、モラロジー道徳教育財団道徳科学研究所教授の西岡力(つとむ)氏は「正論」誌23年12月号で述べている。検証が必要だろう。
いずれにせよ、文科省の解散命令請求には重大な欠落部分があった。岸田文雄前首相が「民法の不法行為」も解散要件に含める解釈変更をした際に、その前提条件として語った「行為の組織性や悪質性、継続性」について、特にコンプラ宣言後の「継続性」についての検証がないのだ。
地裁決定文によると、文科省は「仮にコンプラ…宣言以降の状況を踏まえて判断すべきであるとしても」と、自らはそういう立場には立たないことを示唆しながらも、「同宣言等の施策には、十分な実効性が認められず、…(教団)の本質的な体質改善は見られないのであって、…結論は左右されえない」と予備的な主張を展開している。しかし、これについての具体的な検証はない。
その代わりの証拠として元信者ら名義の261人の陳述書などを提出したが、本人が陳述書を書いた元2世信者8人を除く元信者253人のうち、コンプラ宣言後に入会した1世信者の陳述書は19人分しかなく、約9割が15年以上前に入信しており、何十年も前に脱会した元信者が含まれていた。また、この19人の陳述書のうち、18人分は文科省の職員が聞き取りし、陳述書案を起案したものに、供述名義人が署名捺印したものだった(家庭連合ホームページ)という。
さらに、陳述書の名義人となった元信者らが語ってもいないことを書かれたとして、文科省の職員を告訴する事態も起こっており、かえって国家機関としての信頼を失う結果となった。(信教の自由取材班)
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