
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の購読者数減少に歯止めがかからない。2025年内には、日刊紙と日曜版を合わせた購読者数が80万人を割る見込みで、同党の財政運営は今後さらに厳しさを増すとみられる。(「しんぶん赤旗」問題取材班)
赤旗の購読者数は党員の減少などにより、ピークだった1980年の355万人から〝後退〟を続け、2019年には100万人を割り、24年1月時点では85万人まで落ち込んだ。
減少率の推移をみると、近年その割合が加速していることが分かる。19年9月から24年1月までの日刊紙と日曜版を合わせた購読者数の減少率は約15%で、年平均は約3・7%だった。ところが、23年は前年比で約4・5%減少し、24年は前年比約5・1%減となった。25年は7月までの減少率が既に3・3%に上っており、このペースでいくと年間で約5・6%に達する見込みだ。
特に購読者数全体の8割を占める「日曜版」の減少が顕著で、今年7月の1カ月間だけで約1万4000人減だった。年間では3万人以上減少する見通しで、日刊紙と日曜版以外の電子版を含めても80万人を割る可能性がある。
赤旗の購読料は、政党交付金を受け取っていない日本共産党にとって、党活動を支える重要な財政基盤となっている。そのため機関紙の購読者数の急減は、同党の今後の財政運営にとって死活問題と言える。
政治資金収支報告書によると、23年の同党の収入は約194億5871万円で、そのうち赤旗の購読料を含む事業収入は約153億0498万円と8割近くを占める。近年、事業収入は減少の一途をたどっており、20年の約173億8464万から23年までの3年間で、約12%減少したことになる。
共産党はこの苦境を打開するため、今年1月12日付朝刊で「しんぶん赤旗を守り、発展させよう」とし、「10億円の寄付」を呼び掛け、「読者数100万人」を目標に掲げた。記事では「日刊紙は、年間十数億円の赤字であり、日曜版の読者数も後退が続いています」と強調。諸経費の増大も重なり、「発行の危機がいよいよ切迫しています」と悲鳴にも近い内容で切実な状況を訴えた。
7月に行われた参院選の比例代表で、共産党の獲得議席数は改選4議席から2議席に半減。党員数が減少の一途をたどる中、重要な資金源である赤旗の急減も加わり、今後、党勢の後退に歯止めをかけるのは容易ではなさそうだ。





