
「私たち7人は信者ではありません」。世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散命令のプロセスが公正なのか疑問を抱き、国際弁護士の中山達樹氏、元武蔵野女子大学教授の杉原誠四郎氏、ノンフィクション作家の福田ますみ氏ら「公平・公正な裁判を求める有識者の会」が6日に開いた記者会見。都内の会場にはNHK、毎日新聞、日テレ、共同通信など11社のメディアが集まった。ところが、質疑で手を挙げたのは「正論」誌と本紙記者だけ。マスコミを〝黙らせた〟有識者らの意見はどのようなものだったのか。(信教の自由取材班)
同有識者の会の呼びかけ人代表で、教団の代理人も務めている中山弁護士は「(東京地裁は)2009年の教団のコンプライアンス宣言後も『看過できない程度』の被害が出ているとしたが、『看過できない程度』の定義や基準は何も示していない」と指摘。「教団と中立的な立場の世界の有識者300人以上が、悲しみや怒りの声を上げているということをぜひ伝えてほしい」と訴えた。
金沢大学の仲正昌樹教授は元信者という立場から、教団の実態と世間からのイメージに大きなギャップがあると述べ、具体例を示した。「統一教会は『地獄に落ちる』と脅して献金させると言われている。だが、そんな教義はないし、私も言われたことがない」。また、「マインド・コントロール」についても「虚構だ」と一刀両断。「そんな技術があれば社会で出世するために使うだろう」と語った。
福田氏は、安倍晋三元首相暗殺事件が起きてから教団の取材を始めた際、「反教団とメディアがタッグを組み、著しい偏向報道をしていると感じた」と振り返る。強制棄教のための拉致監禁で脱会した元信者の証言ばかりが取り上げられ、「教団の姿を知らされないまま感情論で解散の世論が作られている」と強調。「最も怖いのは政権や司法までもが世論に与(くみ)し、追随していること。民主主義の崩壊だ」と嘆いた。
杉原氏は過去の裁判事例が解散根拠となったことについて、「いくらでも過去を遡(さかのぼ)ってもいいのならば、どんな宗教団体も(解散に)該当してしまう」と批判した。
宗教者からも疑問の声が相次いだ。拉致監禁被害を受けた教団信者の支援に携わる主の羊クリスチャン教会(横浜市)の中川晴久牧師は「調べると300人近くのキリスト教牧師が拉致監禁に関わっていた。本当に恥ずかしいことだ」「私はキリスト教会を代表して、拉致監禁された被害者にお詫(わ)び申し上げたい」と謝罪の言葉を述べた。
臨済宗妙心寺派金剛寺(静岡県沼津市)の水田真道住職は当初、教団の解散に賛成だったという。しかし、同寺を訪問した教団信者との話し合いを機に、信教の自由を侵しかねない事態と判断。特に宗教界に対して、「先入観と執着を捨てて曇りなき眼(め)で見ていただきたい。私たち宗教者にとって対岸の火事ではない」と呼び掛けた。
イスラム評論家のフマユン・A・ムガール氏は、宗教者の立場から教会を奪われることの苦しみに言及。さらに「日本における宗教は自らの良心だ。裁判官は自分の良心に従って判決を出してほしい」と訴えた。
浜田聡前参議院議員もビデオメッセージを寄せ、「文科省の裁判資料に捏造(ねつぞう)の可能性があるということで、通常国会で私から指摘したところ、捏造を否定する答弁はなかった。文科省には誠実に対応されることを望む」と述べた。
同会は声明で、教団の主張や活動への賛同・理解ではないとしつつ、東京地裁が3月25日に出した解散命令への疑義として、①献金開始が平均30年以上前という過去の民事裁判を解散根拠とした②違法な献金は直近11年間ゼロでありながら、和解や示談という抽象的な証拠から「想定」して被害の継続性を認めた③政府の提出した証拠文書に、改ざん・捏造の疑いがあるにもかかわらず黙殺した―の3点を指摘し、東京高裁に公正公平な裁判を求めている。
だが、教団への解散命令に疑問を呈した記者会見に対し、マスコミは報道しない自由を決め込む様子。異論封殺の厚い言論空間が覆っており、「公平・公正」をこちらにも求めたい。






