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米軍と自衛隊の一体化を 元米国防次官補 ウォレス・グレグソン氏(上)


2014世界はどう動く
識者に聞く(3)

日米同盟

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ウォレス・C・グレグソン 1946年、米ペンシルベニア州生まれ。海軍兵学校卒。第3海兵遠征軍司令官(司令部・沖縄県)、太平洋海兵隊司令官などを歴任し、中将で退役。オバマ政権1期目にアジア・太平洋担当の国防次官補を務めた。現在、シンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」の中国・太平洋上級部長。

 ――中国が沖縄県・尖閣諸島を含めた東シナ海上空に防空識別圏を設定した。

 オバマ米政権は、威圧や力で一方的に現状を変更するいかなる試みにも反対するとの立場を明確にしている。中国の行動は防空識別圏設定を突然発表するという一方的なものであり、命令に従わない航空機に対しては「防御的な緊急措置を取る」という威圧的な内容だ。このような行動は全く受け入れられない。

 爆撃機2機を飛行させた米国の対応は良かった。中国が防空識別圏を撤回しないなら、さらなる措置を講じる必要がある。

 ――東シナ海の安定維持のために、日米は何をすべきか。

 日米同盟の能力向上を継続・加速させることだ。米軍と自衛隊の一体化に力を入れて取り組む必要がある。日米共同訓練が増えていることは大きなステップであり、正しい方向性だ。

 特に、自衛隊によるグアム、テニアン、サイパンなどでの継続的駐留・訓練が、目覚ましいスピードで進展している。これらの地域で行う日米共同訓練は、南西諸島への脅威に対処しなければならない日本にとって極めて重要だ。国土が小さく、都市化した日本では実施が難しい訓練を数多く行うことができる。

 ――中国は米軍などの戦力展開を阻害する「接近阻止・領域拒否(A2AD)」能力を増強している。

 中国は米国やその同盟国が接近してくる能力を否定しようとしているが、日米がこの能力を反転させることも可能だ。つまり、日米が日本列島にA2AD能力を増強することで、逆に中国の接近を阻止するのだ。

 ――日米は中国のA2AD環境を打破できると。

 日本が南西諸島の防衛体制を強化する現在の路線を継続し、いわゆる「南西の壁」を構築するなら、その答えはイエスだ。高性能かつ頑強な監視能力と適切な兵器の組み合わせが重要になる。

 ――中国はA2AD能力の一部として開発を進める対艦弾道ミサイルは、米海軍の空母や艦艇にとって深刻な脅威では。

 中国が対艦弾道ミサイルの開発を進めていることは知っているが、その能力が実証されたという話は聞いていない。

 空母は開発されて以来、常に、いずれ強力な防衛力の前で活動できなくなると言われてきた。だが、今のところ、空母は敵対的環境下でも作戦を展開できており、「空母の終わり」の日は来ていない。他の水上艦も同様だ。対艦弾道ミサイルに対抗する能力や戦術、技術などの組み合わせによって、新たな脅威にも対処できるだろう。

 ――日本が南西地域の離島防衛能力を強化する上で必要な要素は。

 日本には6000以上の島が存在すると聞いた。特に、九州から台湾の間には多くの島がある。すべての島を守るには、高いレベルで統合された陸海空の機動展開能力が欠かせない。

 もはや陸海空自衛隊がそれぞれの問題にとらわれている場合ではない。陸上自衛隊が効率的に機動展開するには、海上・航空自衛隊が必要だ。海上・航空自衛隊にとっても、陸上自衛隊の適切な配置が海・空の機動展開能力を守るのに役立つ。陸海空の統合が脅威を探知する能力を高め、また脅威に対して先手を打つ形で機動展開することを可能にするのだ。

 日本が水陸両用機能、海兵隊を持とうとしていると誤解しているメディアもある。だが、それは日本が目指すものではないし、米国が求めているものでもない。日本が必要としているのは陸海空の統合運用能力であり、水陸両用機能はその一部にすぎない。

(聞き手=ワシントン・早川俊行)