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同胞団評価軌道修正か 元駐米アラブ連盟大使 フセイン・ハッスーナ氏(下)


2014世界はどう動く
識者に聞く(9)

米の中東政策

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 ――米国の、エジプトを含む中東政策の問題点は?

 米国は、穏健なイスラム政治が、過激なイスラム主義をコントロールできると考えた。だから米国は、エジプトでムスリム同胞団が権力を握って以降、同胞団と良い関係をつくろうとした。

 エジプトを含む中東地域で、米国にとって三つの重要な目的がある。一つは石油の確保、第二はスエズ運河を守ること、第三は、最も重要なことだが、イスラエルの安全を守ることだ。

 ムスリム同胞団は、この目標達成に多分貢献した。同胞団は、2年前のハマスとイスラエル間の衝突で一定の仲介の役割を果たした。米国はモルシ政権の果たした役割を評価した。だからモルシ氏が追放されて、米国は混乱した。米国は、エジプトは民主主義に戻るべきだとか、同胞団を政治プロセスに含めるべきだと主張した。

 しかし、米国はプラグマチックな政策と理解力を持っているので、エジプトやアラブ世界が、同胞団の下では幸福ではないということをいずれ理解すると思う。最近ケリー国務長官がエジプトにやってきて、自分は国民を支持すると語った。

 ――出口が見えないシリア内戦についてどう考えるか。

 「アラブの春」は、チュニジアで始まり中東全域に広がっていった。シリアの問題は、国民が、危機の根っこを取り去ることができなかったことにある。エジプトでもリビアでも、新憲法による自由の確立と選挙の実現など、全面的な改革を実行しようとしたが、シリア政府の反応は余りにも遅く、国民の要求に応えなかった。そればかりか政府は力を使って押さえ込もうとした。

 外部勢力が軍事力をもって、反政府派を応援した。シリアの問題は、シリア国民のみが解決できるのだが、サウジやカタール、イランのみならず米国やロシアのような大国まで国内の一方の勢力を支援し影響力行使を狙った。

 重要なことは、シリアの一体性維持だ。ジュネーブ2と呼ばれる会議が1月22日開催される予定だ。ジュネーブ1では、異なった勢力間による暫定政府が設立されることで合意した。それが選挙につながるようになる。今、各勢力は条件を付けている。各派が妥協して政治解決を図る以外にない。

 ――トルコのアラブ政策をどう考えるか。

 トルコはオスマン帝国時代、エジプトやアラブ諸国を包摂した、強大な歴史的帝国だった。いまトルコの経済も発展している。多くのトルコのビジネスマンがエジプトに来ている。主要な店に行けば、数多くのトルコの製品をどこでも見ることができる。エジプト人はトルコの連続テレビドラマを見ている。

 しかし、昨年6月30日に起こった(第二)革命に対し、トルコの国民ではなく政府が、モルシ前大統領の失脚を、ネガティブに見た。

 私のこの見解には二つの理由がある。一つは、(イスラム色の強い公正発展党党首)エルドアン首相は、モルシ政権をイスラム政権と考え、自分の野望実現にとても近づいたと考えた。

 二つ目は、エルドアン氏は、この革命の背後に軍がいると考えたと思う。彼は、トルコにおいて、軍の役割をとても心配していた。トルコ軍は過去、大きな役割を担っていたからだ。彼はそれを恥じていた。

 エルドアン氏は、エジプト国民の意思を尊重すべきだ。もし国民が、新政府を受け入れるなら、それを受け入れるべきだ。我々エジプト人はトルコを好きだし良好な関係を維持したいが、エルドアン氏が考える「トルコによるアラブ諸国への干渉」は受け入れられない。

(聞き手=カイロ・鈴木眞吉)