トップ国内沖縄県議会、10年ぶりに百条委設置 ワシントン事務所問題

県議会、10年ぶりに百条委設置 ワシントン事務所問題

違法状態是正求める警告決議も

ワシントン事務所問題で紛糾した11月定例会=12月5日、沖縄県議会

沖縄県が米国に設置した「ワシントン事務所」を巡る問題で、県議会(中川京貴議長)は20日、運営手続き上の問題を追及するための調査特別委員会(百条委員会)の設置を、野党などの賛成多数で決めた。同議会での百条委設置は10年ぶり4回目。より強力な調査権限を持つ百条委が設置されたことで、玉城デニー県政に対する責任追及はより厳しさを増すことが予想される。(沖縄支局・川瀬裕也)

玉城氏「真摯に受け止め」

百条委設置の動議を提出した仲里全孝県議(自民)は、県関係者の答弁が食い違い二転三転したことなどを挙げ、「前代未聞の事態」だとして、百条委設置の必要性を訴えた。また総務企画委員長を務める西銘啓史郎県議(自民)は、同委員会でワシントン事務所の初代所長を参考人招致したが、本人が議会に連絡先を明かすことを拒んだため、連絡が取れていない状態にあると明かし、常任委員会だけでは対処できない問題であると説明した。

動議採決に先立ち、賛成討論に立った宮里洋史県議(自民)は、同事務所を巡る一連の問題について、「行政への信頼を根底から覆すものに他ならない」と指摘し、「百条調査は議会に与えられた権能のうち、最も強い部類に入る権限だ。われわれも覚悟をもって提出した」とした上で、「この問題の膿を出し切って、正しい沖縄県政を取り戻す」と訴えた。

厳しい立場に立たされた玉城デニー知事=5日、沖縄県議会

これに対し、玉城氏を支える県政与党の次呂久成崇(じろくまさたか)県議(おきなわ新風)は、県が来年2月定例会までに問題を是正するとしていることなどを挙げ、「県に隠蔽(いんぺい)の意図はなかった」とし動議に反対した。また、当山勝利県議(沖縄社大)は、事務所の成果を強調し、「違法状態には当たらない」と擁護する答弁をしたが、野党議員らから多くのヤジが飛んだ。

その後の採決の結果、自民・公明の賛成多数で動議は可決。また、同事務所の違法状態の早期是正などを求める「警告決議」も同様に可決された。

これを受け玉城氏は報道陣の取材に対し、「真摯(しんし)に受け止めている」と語り、追認するための事務手続きを進めていることを明らかにした上で、完了次第、同事務所職員の営利企業従事許可を得るための手続きや取得した株式の登録などの手続きを行っていくと述べた。

百条委員会は、地方自治法の100条に基づき設置されるもので、関係者の証人喚問や記録の提出などを求めることができる。関係者は正当な理由なくこれらの出頭や証言を拒んだ場合、刑罰が科せられるため、強制力の強い調査が可能となる。

20日に開かれた第1回の委員会では、15人の委員の中から座波一県議(自民)が委員長に、西銘氏が副委員長に選出された。26日以降、本格的な審議が始まる見通しだ。

2015年に、故翁長雄志前県知事の肝煎りとして始まった同事務所は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対のための活動を担ってきたとされる。これは、辺野古訴訟において最高裁判決で敗訴した玉城氏にとって、反基地活動を続けるためのいわば「最後の砦(とりで)」ともいえる。

同事務所について県はこれまで、問題点を是正した後、活動は続けていくとの方針を貫いてきたが、今後、百条委で新たな違法性の根拠などが明らかになった場合、野党からの追及と廃止を求める世論はより一層強まることになる。

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