防衛省統合幕僚監部は１８日、中国海軍の空母「遼寧」が沖縄県・与那国島と西表島の間の接続水域を航行したと発表した。中国空母が接続水域に入ったのは初めて。政府は中国側に「深刻な懸念」を伝えた。
接続水域は領海に隣接する海域で、国際海洋法条約に基づき、海岸から２４カイリの範囲で沿岸国が設定する。各国船舶に「航行の自由」は認められるが、沿岸国は密輸や不法入国の防止のため一定の取り締まり権限を行使できる。
８月には長崎県・男女群島沖で中国軍機による初の領空侵犯が、鹿児島県・屋久島周辺では海軍艦艇の領海侵入が起きており、防衛省は警戒監視を強めるとともに、意図などを分析している。
同省によると、１７日夜、ミサイル駆逐艦２隻と共に尖閣諸島の北西約２１０キロの海域を航行する遼寧を海上自衛隊が確認。３隻は南進し、１８日未明にかけて与那国島と西表島の間を通過した。海自の護衛艦や哨戒機が監視に当たり、危険な行動などは確認されていないという。
遼寧の太平洋上での行動が確認されたのは２０２２年１２月以来で９回目。中国軍はもう１隻の空母「山東」と共に日本や台湾周辺で艦載戦闘機などの発着艦を繰り返し、運用能力向上を図っているとみられる。今月１３日には国営メディアを通じ、３隻目の新型空母「福建」の発艦訓練の映像も公開した。
台湾国防部（国防省）も１８日、遼寧が台湾北東海域を通過し、与那国島の東南方向へ向かったと発表。「海空域の動向を掌握して厳重に警戒、監視し適切に対応している」と強調した。
