アンバランスな玉城県政に非難の声

県議会で追及する新垣淑豊県議(自民)=7月17日、沖縄自民のユーチューブより

中国福建省トップの周祖翼・同省共産党委員会書記長が沖縄を訪問し、7月29日に玉城デニー知事と会談した。玉城氏は「日中間の平和と安定に貢献できるよう、地域間の外交に精力的に取り組みたい」と語り、自身が掲げる独自の「地域外交」をアピールした。一方で、6月に開かれた県民保護について議論する九州知事会に玉城氏が欠席し、県内で選挙応援をしていたことがこのほど発覚し、県議会で野党から非難の声が上がっている。
(沖縄支局・川瀬裕也)

県民保護より選挙優先

福建省トップ来沖で地域外交アピール

周氏ら福建省の代表団は7月28日に来沖し、那覇市内で開かれた歓迎レセプションに参加。29日に県庁で玉城氏と会談した周氏は「福建と沖縄はまるで親戚のような関係だ」と語り、人的交流を推進するため、那覇と同省を結ぶ飛行機の直行便就航に意欲を示した。

玉城氏は昨年4月から、知事公室に「地域外交室」を設置。昨年7月には日本国際貿易促進協会(国貿促)の河野洋平会長らと共に北京を訪れ、李強首相と面談するなど、異例の好待遇を受けている。

また昨年10月には、中国の呉江浩駐日大使とも面会し、中国との交流推進に強い意欲を示した。これらの玉城氏による中国にのみ偏った「地域外交」はたびたび非難の的とされてきた。

2023年7月4日、北京市郊外の「琉球国墓地」跡地を訪れ、手を合わせる沖縄県の玉城デニー知事(時事)

そのような中で、今年6月3日に行われた九州知事会に欠席した玉城氏が県内で県議選の選挙応援をしていたことが発覚し、県議会で野党が追及した。

県議会6月定例会で7月17日、一般質問に立った新垣淑豊県議(自民)は、有事の際の県民避難について話し合われた同知事会に玉城氏が欠席したことを問題視。「沖縄県の住民の命の方が選挙戦の応援よりも大事だ」と指摘した。

新垣氏は、会議参加者の他県知事から「なぜ住民保護の話をするのに沖縄県知事が出てこないのか」と言われたと明かし、欠席の理由を再度問いただすも、溜政仁知事公室長が「九州地方知事会は、知事または副知事において対応することとしている」と繰り返すのみだった。同会議には池田竹州副知事が参加していた。

玉城氏が昨年会談した呉駐日大使は5月、日台関係について、日本が中国の分裂に加担すれば、「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」などと発言し、中国の汪文斌報道官も同発言を「完全に正当で必要なものだ」と主張している。

地域外交をアピールし友好を図るだけで、有事や災害の際の県民保護を蔑(ないがし)ろにするアンバランスさについて新垣氏は「これが今の沖縄県政の姿勢だ」と強く批判した。

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