
沖縄県は23日、太平洋戦争末期の地上戦で犠牲となった20万人余を悼む「慰霊の日」を迎えた。沖縄戦最後の激戦地となった糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園では、県主催の沖縄全戦没者追悼式が開かれ、岸田文雄首相や衆参両院議長をはじめ、県内外の遺族ら約4500人が参列し、正午の時報に合わせて黙祷(もくとう)を捧(ささ)げた。
岸田首相はあいさつで、「沖縄戦の悲惨な実相と平和の尊さを次世代に継承していくことは、われわれに課せられた責務だ」と述べ、「戦争の惨禍を二度と繰り返さないという強い決意の下、世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現する」と誓った。その上で、「国家戦略として沖縄振興を総合的に進める」と述べた。
玉城デニー知事は「平和宣言」で、安全保障環境で「平和的外交、対話による課題解決が求められている」と強調。「平和の島実現のため、在沖米軍基地の整理・縮小、普天間飛行場(宜野湾市)の一日も早い危険性の除去、辺野古(名護市)新基地建設の断念など、基地問題の早期解決を図るべき」と述べた。
このほか、式典では県立宮古高校3年の仲間友佑さん(18)が、「これから」と題した「平和の詩」を朗読。戦後79年が経(た)った現在も、世界各地で紛争などが続いている現状を憂い、「それでも変わらないというのなら もっともっとこれからも 僕らが祈りを繋(つな)ぎ続けよう」と力強く読み上げた。
犠牲者の名前を刻む「平和の礎(いしじ)」には今年、181人の氏名が新たに追加され、刻銘者は計24万2225人となった。