国連「先住民族勧告」撤回求める決議案 県議会 与党の反対多数で否決

決議に賛成し起立したのは野党自民党会派のみだった=3月28日、那覇市の県議会

 沖縄県民を「先住民族」であるとする国連の勧告に対し、撤回を求める有志らによる派遣団が3月20日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた人権理事会で同勧告の「再検討」を求めるスピーチを行った。これに関連し28日、沖縄県議会最終本会議で、自民党会派が同勧告の撤回を求める決議案を提出し審議されたが、与党の反対多数で否決された。(沖縄支局・川瀬裕也、写真も)

「こんな前例はない」 自民・又吉県議、与党の姿勢批判

 この問題は2008年、国連の自由権規約委員会が日本政府宛に「琉球・沖縄の人々を先住民族と認めて、その権利を保護するべき」との勧告を出したことが発端。日本政府は勧告を否定しているが、08年以降も同様の趣旨の勧告が人種差別撤廃委員会と合わせて、計6回出されている。

 この問題に取り組む保守系シンクタンク「日本沖縄政策研究フォーラム」の仲村覚理事長がこのほど沖縄からの派遣団を結成し、ジュネーブでスピーチした。仲村氏はNGO「新しい歴史教科書をつくる会」の発言枠で登壇し、ほとんどの沖縄県民は勧告の存在を知らされていないことに加え、玉城デニー知事も同問題について、「県議会や沖縄社会で宣言されたことはなく、議論されたこともない」としている点を指摘。その上で、調査員を派遣し沖縄の実情を偏見なく学び、勧告を撤回するよう要請した。

「先住民族」勧告の撤回を求める決議の賛成討論に立つ島尻忠明県議(自民)=3月28日那覇市の県議会

 人権理事会では昨年9月、玉城氏が基地負担軽減などを訴えるスピーチを行ったが、その際、玉城氏と連携しスピーチ枠を用意したNGOが、沖縄県民を先住民族であると主張し活動する「市民外交センター」であったことが後に判明し、県議会で追及された。

 同勧告の撤回を求める決議案が提出された28日の県議会本会議では、賛成討論に立った島尻忠明県議(自民)が、「この勧告を放置することは、県民に対する裏切り行為以外の何ものでもない」として、採択を求めた。しかしその後、野党の公明・維新の議員ら5人は「党内で十分な議論ができていない」として採決を退席。玉城氏を支える与党(オール沖縄勢力)は反対討論や質問は行わないまま全員反対し、反対多数で否決となった。

与党の姿勢を厳しく批判する又吉清義県議(自民)=3月31日、浦添市の産業振興センター結の街

 この件について、又吉清義県議(自民)は31日に開かれた国連派遣団の報告会で、同氏が委員長を務める県総務企画委員会で勧告に対する決議案の採決が議題に上がった際、事前に通知してあるにもかかわらず、与党議員から「議案を見ていない」として「見ていないものは取り扱いようがない」と申し出があったと明かした。又吉氏は「今までこんな前例はない」と、与党の姿勢を厳しく批判した。

 また仲村氏は、誰も反対していないのに議案が通らなかったことから、「『沖縄の人々を先住民族にする』というオール沖縄の秘密公約が明らかになった」と持論を述べた。

仲村覚氏の人権理事会でのスピーチ全文

 人権理事会と人種差別撤廃委員会は、日本政府が沖縄の人々を先住民族として認め、その権利を守らなければならないと6回にわたって勧告してきました。しかし、ほとんどの沖縄の人々は、自分たちが国連によって先住民族と見なされていることに気付いておらず、繰り返しそうするように勧められてきました。

 前回の人権理事会で演説した玉城デニー沖縄県知事でさえ、沖縄県議会や沖縄社会で先住民族と宣言されたことは一度もないし、議論されたこともないと繰り返し述べています。沖縄の人々が議論も要求もしていないのに、このような勧告が発せられているという事実は、明らかに、特定の政府が日本国民を分断し、互いに戦わせることで弱体化させようとしています。

 国連は、これらの特定のグループによって意図的に操作された分離主義的な報告に基づいて勧告を出すべきではありません。私たちは、この理事会に対し、特別報告者を沖縄に派遣し、沖縄の人々と会い、沖縄の実情を偏見なく学ぶことを求めます。そして、理事会に対し、これらの勧告を再検討するよう要請します。

(3月20日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部)

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