石垣港湾ストで物流に被害 米艦船寄港に抗議

新たな反米運動となる懸念も

石垣港に寄港した米ミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」(目撃者提供)

全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部が、石垣市の石垣港で11日から3日間にわたり全面ストライキを強行し、八重山地域一帯で物流が滞るなど大きな被害が発生した。米艦船の同港への寄港に抗議する形でストが行われたが、同市の中山義隆市長は「適法な手順を踏んでいない」と批判。県労働委員会は関連法に規定されている「争議行為に当たらない」との見解を示しているが、政治的目的を行使するためのストだった場合、新たな反米・反自衛隊運動に利用されかねない懸念がある。(沖縄支局・川瀬裕也)

中山市長が違法性を指摘

県労働委「争議行為に当たらず」

全港湾沖縄地方本部は11日、那覇市内で会見を開き、米海軍ミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」の石垣港湾区域内への停泊に伴い、荷役作業に当たる組合員の「安全を確保できない」などとして、13日の同艦船離岸までの間ストライキを実施すると発表した。同本部は昨年9月に米掃海艇が石垣港に入った際もストを実施しており、「争議行為は今回で2回目」だとしている。当初、石垣港に加え、那覇港(那覇市、浦添市)でもストを実施すると通告していたが、「労働者の安全確保に関する認識が共有できた」として見送られた。

同艦船停泊に関して同市の中山市長は、沖合での停泊であることや上陸方法などを確認した上で「安全性が確認できた」とし、法的に拒否する理由はないとして入港を許可した。

玉城デニー県知事は11日、この件に関して「緊急時以外の民間港の使用は自粛すべきだ」とコメント。日米地位協定では、米軍は申請すれば日本の空港や港湾などを利用することができるため、自粛要請にとどめた形だ。とはいえ、「こういう事態を招いてしまうことを米軍や防衛省はしっかり受け止めて」と、その矛先はしっかりと米軍と政府に向いている。

地元紙なども「住民脅かす軍事施設化(3月13日付八重山毎日新聞社説)」などと見出しにとり、猛烈に批判した。

品薄になったスーパーの写真と共にスト解除を求める投稿(現地在住者と思われるアカウントによるXの投稿より)

一方で、ストの強行に伴い石垣島や宮古島など、八重山地域のスーパーなどでは一部の生鮮食料品が品薄となり住民生活に影響が発生。SNSなどでは、空になった商品陳列棚の写真と共にストの解除を求める投稿が相次いだ。

これらの動きを受け、石垣市議会では12日、ストの即時解除を求める要請決議が賛成多数で可決され、同日全港湾沖縄地方本部に送付されたが、事前の告知通り、ストは13日まで続けられた。

中山市長は14日の記者会見で、一連のストについて、労働関係調整法に違反しており、「適法な手順を踏んだものではなかった」と語った。同法では、公益事業の従事者が争議行為を行う場合、10日前までには県労働委員会および厚生労働相または都道府県知事にその旨を通知しなければならないと定められている(37条)。しかし、この点について市が県労働委員会事務局に問い合わせたところ、ストで必要となる事前の通知が無かったことを確認したという。

ストによる商品の未入荷を謝罪する張り紙(SNSより)

これを踏まえて、市が適切な対処をするよう求めたが、県労働委員会は同ストについて、「中央労働委員会事務局および厚生労働省との同一見解のもと、労働関係調整法に規定されている争議行為に当たらず、一連の手続きも不要」と市側に回答したという。

中山氏は、争議行為(スト)自体について、憲法28条(勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利)により保障されている正当な権利として認めることに異論はないとした上で、今回の石垣港湾のストについて「正当な争議行為に当たるかどうかは最終的には司法の判断」だとしながらも、仮に正当な争議行為に当たらなかった場合、デモや抗議活動の一環として、憲法が保障する「表現の自由」の範疇(はんちゅう)となり、「公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を受けるものと認識している」との見解を表明。

その上で中山氏は、今回のストによって貨物船の荷役作業が止まり、島々の物流が混乱したとして、「政治的な闘争を背景にした住民生活を盾に取るストライキは、今後、厳に慎んでいただきたい」と訴えた。

ストの目的は「有利な労働条件を確保することを目指す」と定められている。もし特定の政治目的を行使するために強行されたのであれば、新たな「反米軍・反自衛隊運動」として利用されかねない懸念がある。その点も踏まえ、今回のストについて検証する必要がありそうだ。

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