導水管破損、漏水事故で混乱

工業用水断水で損害も

工事難航、完全復旧めど立たず

沖縄本島北部・名護市の久志浄水場からうるま市の石川浄水場を経て西原町の西原浄水場までを結ぶ導水管で16日、漏水事故が起こり、工業用水が一時断水するなど各地で損害が発生した。県企業局が修繕工事を行うも難航しており、完全復旧のめどは立っていない。さらに、県内各地の水道管が耐久年数を超過し老朽化している問題や、7割以上の上水道が耐震性を満たしていない問題なども浮上し、水道インフラの脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りとなった。(沖縄支局・川瀬裕也)

上水道管老朽化、耐震性も問題に

水道インフラの脆弱性顕著

16日夕、うるま市昆布の県道75号の地下を走る導水管で漏水が発生したことが発覚し、県企業局が調査したところ、約4㌢の穴が開いているのを確認した。翌日行われた復旧工事で同局は、木製の栓で修繕を試みるも水圧が強いため断念。18日には送水を一時停止し、管内の水を一度排水した後、穴の上に鉄板を重ねて溶接する手法へと変更したが、水流を止める制水弁の不具合で中断を余儀なくされた。

この間、工業用水の供給などが一時停止されたことで、製鉄や食品などに関わる一部の企業が生産活動を停止し、食品廃棄などの損害が発生した。

事故現場付近のうるま市・石川浄水場=沖縄県企業局ホームページより

これらを受け同局は19日、県庁で会見を開き、松田了企業局長が、「多大なるご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げる」と謝罪。漏水の原因については不明だとしながらも、制水弁の不具合については、経年劣化による錆びなどの影響があった可能性があるとの見方を示した。

各種報道によると、昨年度末時点で、同局が管理する導水管・送水管のうち3分の1以上に当たる36・8%が鋼管の法定耐用年数の40年を超過しているという。漏水事故が発生した「石川―高原導水管」も1976年の使用開始から既に48年が経過していた。しかし、同局は他府県の事例などを参考に、水道管の更新基準を55年と定めており、これらの背景について県は、沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)の減少に伴う予算不足だと説明している。

企業局が入る沖縄県庁=川瀬裕也撮影

近年、水道インフラの老朽化はたびたび問題視されてきた。昨年8月に台風6号が発生した際、宜野湾市内で発生した断水は中城村の新垣増圧ポンプ場の非常用電源設備の老朽化が原因だった。また、厚生労働省が発表した調査結果によると、一昨年度末時点で、県内の上水道のうち、約7割が必要な耐震強度を満たしていないことが指摘されている。

能登半島地震で被害を受けた石川県では、依然として8市町で断水が続いており、避難生活と復興の大きな妨げとなっている。老朽化に加え、耐震性も不十分な沖縄の上水道の整備は急務だといえる。

そのため県は、水道の安定供給と老朽化対策に加え、災害対策を掲げ、水道料金の引き上げも検討しているが、値上げとなると県民からの大きな反発も予想されるため、難航を極めている。

県内では昨年から少雨の影響でダムの水位が下がっており、貯水量は22日時点で56・7%で、平均値を20%以上も下回っている。県が節水を呼び掛けている最中に発生した今回の事故で、水不足がさらに加速することが懸念される。玉城デニー知事は18日の記者会見で、貯水率が今後さらに低下した場合、「給水制限をせざるを得ない」との認識を示した。

企業局は19日から工事を一時中断しており、止水不良の原因となった制水弁に関する情報収集や漏水箇所の補修方法などの検討を行い、復旧作業再開に向けた準備を進めている。23日には危機対策本部会議が開かれ、今後の対応について話し合われた。

事故現場では、応急処置として穴を鉄板で塞(ふさ)ぎ、重機で抑えつけることで漏水の勢いを弱めているものの、1時間に約10㌧もの水が漏れ続けており、流れ出た水は近くの昆布ビーチへと放流している。一刻も速い完全復旧が待たれる。

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