孔子廟撤去求める原告敗訴 上告へ 福岡高裁那覇支部

政教分離の「程度」が争点に

松山公園に設置されている孔子廟(久米至聖廟)=沖縄県那覇市(豊田剛撮影)

那覇市の松山公園内にある儒教の祖・孔子を祭る久米至聖廟(しせいびょう)(以下、孔子廟)に関して、市の設置許可は憲法の政教分離原則に反するとして、市が孔子廟を管理する久米崇聖会(そうせいかい)に対し撤去を求めないことの違法性の確認が焦点となった住民訴訟(孔子廟第2次訴訟)の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)はこのほど、原告側の控訴を棄却した。原告側は上告する構えだ。(沖縄支局・川瀬裕也)

市管理の公園に宗教施設

この問題は2013年4月に、那覇市久米にあった孔子廟が松山公園に移転されるに当たり、久米崇聖会からの申請に基づき、翁長雄志市長(当時)が11年に設置を許可し、「教養施設」として土地使用料を全額免除したことが発端。久米崇聖会についても、沖縄に渡来した中国福建省出身者の末裔(まつえい)かつ男子のみが会員となれることからも、公益性・公共性を問題視する声があった。

これに対し、那覇市在住の金城テル(戸籍名・照子)さん(94)ら市民2人が原告となり、市が使用料を請求しないことの違法性の確認を求めて提訴(1次訴訟)した。この訴訟は21年2月、最高裁大法廷(大谷直人裁判長)で、「市の土地使用料免除は憲法が禁じた宗教活動に該当する」として戦後3件目となる政教分離違憲判決が下され、市は久米崇聖会に対し年間577万円の使用料を請求するに至った。

孔子廟訴訟が行われた福岡高裁那覇支部=沖縄県那覇市(川瀬裕也撮影)

18日の第2次訴訟で原告側は、宗教施設である孔子廟の撤去および土地の明け渡しを市が久米崇聖会に請求がないことは憲法の政教分離原則違反であると主張していた。福岡高裁は、同原則に反しないとした那覇地裁の第一審判決を支持する形で、控訴棄却とした。

原告代理人の徳永信一弁護士は判決後の囲み会見で、政教分離原則について「宗教と政治は一切結び付いてはいけないというものではなく『程度の問題』であることを確認する判決となった」と受け止めた。その上で、「たとえ賃料を払っていたとしても、市が管理する公園に宗教施設が建っている状態のままで良いのか、最高裁で改めて問いたい」と上告する方針を示した。

原告支援者の男性は、21年の最高裁判決(1次訴訟)後に久米崇聖会側が①施設側面の扉の常時開放②地域貢献する施設であるとの看板設置③「学業成就(祈願)カード」の販売は引き続き行わないこと④施設内広場の自由な出入りを認め使用規範を定めること――の改善努力をしたことは「評価する」とした上で、「中国との関わりが強い宗教施設であることに変わりはない」として、最高裁の判決に委ねるとの姿勢を示した。

焦点となる政教分離原則の「程度」について、今後の動きに注目が集まりそうだ。

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