沖縄県知事選敗北の自民 県連新体制へ

2022「選挙イヤー」を振り返る

今年当選した県内の保守系市長ら=12月17日、那覇市のホテル(豊田剛撮影)

沖縄県知事選や参院選、市長選など重要な選挙が多かった「選挙イヤー」2022年が終わろうとしている。自民党は七つすべての市長選で擁立候補が勝利した一方で、最重要選挙である9月の知事選で敗北した。これを受け、県連は執行部を刷新して再出発を図るが、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」陣営は総括のないまま年の瀬を迎えようとしている。(沖縄支局・豊田剛)

台湾有事と物価高対策重点

オール沖縄 「辺野古」一辺倒の反省なし

「オール沖縄」と自民、公明両党による激しい戦いとなった22年の「選挙イヤー」は痛み分けとなった。

政府と「オール沖縄」陣営共に「天王山」と位置付ける9月の知事選は、抜群の知名度を生かして玉城氏が再選を果たした。

今年当選した県内の保守系市長ら=12月17日、那覇市のホテル(豊田剛撮影)

一方、市長選の結果は正反対となった。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対するオール沖縄と自公勢力の対決を象徴する名護市長選が皮切りだった。政府から手厚い補助金を受け、市民サービスに還元したことが評価され、保守系現職が再選した。

同日実施された南城市長選でも自公が推薦する元職が市長に返り咲いた。さらに、参院選と知事選後で逆風が吹く中で行われた豊見城市長選では、保守系候補が勝利し、市政を奪還した。

選挙イヤー締めくくりとなる10月の那覇市長選で、「オール沖縄」が支えた城間幹子市政で副市長を務めた知念覚氏がオール沖縄勢力と決別して、自公推薦で勝利した。

翁長雄志氏が知事選に出馬し当選した14年当時は、一部自民党議員や自民党の選挙を支えてきた地元企業も参画した。それらを牽引(けんいん)したホテル大手と小売り・建設大手が、「政党色が強まった」ことを理由に離反。玉城氏の後援会長を辞任し、自民党に接近した。那覇市長選では、「オール沖縄」から離反したグループが自民党の選挙本部とは別に大規模な後援会事務所を構え、無党派層の取り込みに成功した。

ただ、知事選と参院選で敗北したことを重く受け止めた自民県連の中川京貴会長と島袋大幹事長は11月下旬、「けじめを付けたい」と辞任を表明した。

それを受ける形で、自民県連は今月17日、3年ぶりとなる党大会を那覇市で開催し、新体制を発表した。新たな会長には、仲田弘毅県議が就任した。仲田氏はうるま市区選出で、現在5期目。20年6月の県議選後に副議長に就任し、今年7月まで務めた。

仲田氏について「経験は十分」「敵を作らないタイプ」と評価する声がある一方、「強いリーダーシップは期待できない」「調整役に徹して幹事長以下がサポートすればいい」という意見が出ている。県議会の会派長を務める島袋氏は再任される形となった。新設した副幹事長と幹事長代理に2人ずつ配置して、挙党体制で組織強化と発展を目指す。

仲田氏は「沖縄を取り巻く内外の環境は楽観を許さない」と強調。台湾有事を念頭に、「国境に接する離島を抱える県としても、対策と備えをしっかりとやっていかなければいけない」と訴えた。物価高やエネルギー高騰による県民生活への影響を懸念し、国とのパイプを重視する考えを示した。

敗北した参院選については、「保守系公約を掲げた参政党への対策を十分にとれなかったことも反省すべき点」と明記。知事選では、①候補者選定の透明性や公平性の問題②保守系の下地幹郎氏が出馬したことによる票割れ③旧統一教会問題をめぐり公明党関係者に不信感があり、選挙運動に影響したこと――などを指摘した。

一方、「オール沖縄」は辺野古移設反対の一辺倒で戦うことに限界を露呈した。那覇市長選では、将来の革新勢力を担うことが期待されている故翁長雄志前知事の次男、雄治(たけはる)氏を擁立したが、那覇市議と県議に当選しながら共に1期目をまっとうしておらず、市政と直接関係のない辺野古移設反対のメッセージを強く発するなどして、訴えが浸透しなかった。

関係者は「辺野古反対の民意に揺るぎはない」と強調するが、県が政府を相手取る訴訟はことごとく敗訴しており、埋め立て作業は着々と進む。辺野古問題でオール沖縄が今後も県民の支持が得られるかは見通せない。

「オール沖縄」幹部らが11月26日、選挙を総括する会議を那覇市で開いた。会議は非公開だったが、候補者選考体制への不満や戦略、枠組みの構築について話が出たという。ただ、オール沖縄に支えられた城間氏が、革新色が強くなったことを理由に「オール沖縄」を「卒業」するなど、その存在意義が問われる厳しい現実に直面しているのに、陣営からはこうした課題に正面から向き合う姿勢が感じられない。

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