トップ国内米軍普天間飛行場 3年半ぶり一般公開

米軍普天間飛行場 3年半ぶり一般公開

配備から10年、オスプレイ間近に

一般公開されたオスプレイと関連グッズに人気が集まった=1日、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場

大型の輸送ヘリコプターCH46の後継機として垂直離着陸できる輸送機MV22オスプレイが、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場に配備されてから今月1日で10年を迎えた。米海兵隊幹部は、オスプレイが「隊員や物資を素早く運ぶことができ、さまざまな任務に活用することができる多目的な航空機で、地域にとっての財産だ」と強調しているが、沖縄県はいまだに配備撤回を求めている。(沖縄支局・豊田剛、写真も)

地域の安保に不可欠

玉城知事は配備撤回求める

1日と2日の両日、一般向けに基地を開放するイベント「普天間フライトラインフェア」が開かれた。新型コロナウイルス感染が拡大する前の2019年春に行われたのが最後で、約3年半ぶりの開催となった。

「フェアを通じて地域の人々と在日米軍・軍属がつながっていることを示した。これが私たちが目指している関係性だ」。普天間基地司令官のヘンリー・ドーベリー大佐は1日の記者会見で、イベントの意義を強調。「コロナ禍の影響で、家族ですら一緒にいられない時期があり、地域とは社会的にも物理的にもしばらく距離があった」とした上で、「このイベントは沖縄だけでなく世界に向けたメッセージだ。将来的には自衛隊ともっとこうしたイベントを開催したい」と意気込んだ。

オスプレイの有用性について語る米軍普天間飛行場司令官のヘンリー・ドーベリー大佐=1日、沖縄県宜野湾市の普天間飛行場

沖縄県内の主要な米軍基地では、県民・国民に基地への理解を深めてもらい、日米友好を確認する一般向けイベントを催している。コロナ禍までは年に1回主催し、周辺住民や観光客、米軍の家族らでにぎわっていた。

中でも普天間フライトラインフェアは人気が高い。車での入場が基本で、ゲートを通過して基地内の駐車場に着くまで最長で2時間程度になる。最新輸送機や現役の装備品を間近に見学したり触れたりすることができるのが特徴だ。普天間基地所属のオスプレイをはじめ、岩国基地に配備されている大型輸送機KC130、韓国(慶尚北道浦項市)ムジョク基地の戦闘機F15も公開。沖縄の自衛隊のヘリコプターや地対空誘導弾などの装備品も展示されていた。

見学者たちはオスプレイの内部やKC130のコックピットなどを見学し、スマホのカメラに収めたりしながら、米軍人との会話を楽しんでいた。

宜野湾市に住む40代の男性は「毎回ほぼ欠かさずフェアに参加している」という。「日頃、オスプレイの騒音はあるが、これが地域の安全保障のために役立っていると思うと、文句を言う気持ちにはなれない。ここには日米友好の縮図がある」と話した。

沖縄市から3世代で訪れたという30代の女性は、「祖父は米軍基地に否定的だったが、言語の壁を超えて日米の子供たちが一緒にお祭りを楽しんでいる姿を見て、だいぶ偏見が取れた」とうれしそうに話した。

普天間飛行場にオスプレイが配備される当時は激しい抗議デモが行われたが、今では目立った抗議活動は行われていない。

オスプレイ配備にあたり、12年に防衛省と外務省は連名で配備の意義を以下のように説明している。

<米国のアジア太平洋地域重視の戦略の中で、在日米軍、なかでも沖縄の海兵隊の存在は大きな意義を有しており、MV22オスプレイは、その海兵隊の能力の中核を担う装備。オスプレイは、換装するCH46Eに比べて、速度2倍、搭載能力3倍、行動半径4倍という優れた性能を有しており、同機の沖縄配備により、在日米軍全体の抑止力が強化され、この地域の平和と安定に大きく寄与する。なお、CH46Eは、既に自衛隊でも退役させた機種であり、これ以上の継続使用は困難。長期的に見た安全性の観点からも好ましくない。>

オスプレイは地域の安全保障には欠かせない。10年前に配備されて以来、軍事面以外ではアジア太平洋地域における災害派遣で効果を発揮している。

国内では、陸上自衛隊が20年に配備を開始。現在は千葉県木更津市の木更津駐屯地に暫定配備されている。陸上自衛隊西部方面隊は今月2日から9日まで、離島防衛を想定した大規模な実動訓練「鎮西演習」を九州各地で行っているが、このうち大分県の十文字原演習場では、オスプレイを使用した負傷者の搬送訓練が実施された。

それでも玉城県政はオスプレイ配備には否定的だ。2期目の当選直後のインタビューではオスプレイ配備撤回について「これからも1㍉もぶれることなく自分の思いを県民と共有して解決を求めていく」と述べた。また、普天間飛行場の代替先である名護市辺野古の埋め立て完了を待たずに普天間飛行場所属のオスプレイを段階的に移駐する案を松川正則宜野湾市長が提案していることについて、「県内でこのようなたらい回しを続けては絶対にいけない」と否定的な考えを改めて示した。

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