歯止めかからぬコロナ禍 沖縄観光 再興の道険し

昨年の夏と比べ観光客がかなり増えた国際通り=沖縄県那覇市

新型コロナウイルス感染が国内で見つかってから約2年半が経過した。沖縄には観光客が戻りつつあるが、沖縄のリーディング産業である観光業界は苦境に立たされている。飲食業界のように時短協力金を受けることができず、観光関連産業のほとんどは経営の縮小やリストラを余儀なくされている。(沖縄支局・豊田 剛)

全国旅行支援は延期

沖縄には外国人観光客の姿も見え始め、観光業界に明るい兆しが現れ始めている。ところが、新型コロナウイルス感染の第7波が急拡大したことを受け、政府は昨年のGoToトラベルキャンペーン同様の全国旅行支援を延期した。県内や隣県、地方ブロックへの旅行費用を割引する「県民割」を8月末まで延長することも決めたが陸続きの隣県がない沖縄県にはメリットがない。

県は7月21日、県民に対して①会食は4人以下、2時間以内②不要不急の外出はできるだけ控える③アルコール提供を伴うイベントは開催時期の変更を検討するよう求める――ことなどを要請した。

観光事業者らはその前日、決起集会を開き、集まった約300人がこれまでの自粛要請に伴う観光事業者への協力金支給を求めた。

県内旅行会社大手「沖縄ツーリスト」の東良和会長は「なぜ一部のコロナ対策にだけ税金が使われるのか」と問い掛け、「沖縄県は誰一人取り残さないと言っている。われわれから生活や財産を奪い取る補償のない無責任な行動制限には断固反対する」と訴えた。

観光事業者らは6月にも県庁前で決起大会を開催した。その際の要請項目は、①観光事業者への経営支援②レンタカー不足による旅行キャンセルの抑制③那覇空港などにおける国際線早期再開④人材の確保・育成――など7項目にわたった。政府は6月中の那覇空港国際線再開を目指したが、人員確保や検疫体制整備の遅れが響き、2日になってやっと約2年4カ月ぶりに再開した。

関係者によると、県はこれまでに観光業者の要求事項への明確な回答を示していない。観光は沖縄経済を支える大きな柱だ。県によるウィズコロナ、ポストコロナを見据えたきめ細かな対策が求められる。

人材・レンタカーが不足

沖縄ツーリストの宮平彰夫社長代行・常務取締役

コロナ禍の影響で観光産業全体で人材のロスがある。コロナ禍前には600人を超える社員がいたが、緊急事態宣言ではゼロに近い収入の状態だった。回復に向かうに当たって観光人材がいないとなると、実際に動かせるのは60~70%程度になる。観光立県としてサポートしてほしいと求めている。

コロナ禍以降、100%に戻すことは難しい。観光客が戻ってきても食事、フロント業務、ベッドメーキングなど、必要な人材を確保できず、ホテルはフル稼働できない状況だ。

また、レンタカーが維持できなくなり、県内で全体的に減車してしまった。従来の沖縄観光の主力は団体客の大型バスを使っての修学旅行や高齢者の団体旅行だったが、今ではレンタカーを使っての観光が主流だ。観光客が戻ってきてレンタカーを再び増やそうにも、リースにかかるコストや自動車に必要な半導体不足などの影響で、地元企業としては増車できない状況にある。空港に到着した後の二次交通をどうするかが最大の課題になってくる。

沖縄の観光が元に戻るには10年以上のスパンで考えないといけない。インバウンドが順調に推移して、コロナ禍前は年間1千万人観光客を達成したが、国内需要だけでその数字に戻すことはできない。コロナ検疫の緩和を早くしないと、国際便が戻らない。

沖縄ツーリストとしては、一時期は100人に近い海外の人材を採用していたが、仕事がなくなって本国に戻ってしまった。全体でも従業員を半分程度減らした。東京以外の地方の事務所をすべて閉めた。レンタカーは1600台あったが、今は600台ぐらいに減らした。

国が県民割・地域割といった資源を提供しているが、陸で他県とつながっていない沖縄にはメリットが少ない。観光業へのテコ入れを再三要望している。地域の実情に合った制度設計をしてもらいたい。若い人々の観光業に対する不安を拭えない。

7月に予定されていた全国規模の旅行キャンペーンは延期になったが、これまでも旅行キャンペーンの施策が直前まで出てこなかった。中止になったり変更が生じることで、払い戻しの対応に追われる毎日だ。それに必要な手数料は会社負担となり、ボランティアで仕事をしているような状況に陥っている。

コロナ禍を通じて旅行商品の扱い方が変わった。非接触型のデジタルシステムへの変更、パッケージ型商品の廃止など、システム開発・変更が急務だが、かなりの開発費用を要することになるだろう。