参院選 沖縄選挙区 伊波氏が大接戦制し再選 自民・古謝氏、猛追もあと一歩

落選を受け支援者に謝意を述べる古謝玄太氏(右から3人目)=11日0時、沖縄県那覇市の選挙事務所

参院選が10日、投開票され、沖縄選挙区では革新系の無所属現職の伊波洋一氏(70)が自民公認で公明が推薦する新人の古謝玄太氏(38)を僅差で破って再選を果たした。保革の激しい一騎打ちとなったが、2カ月後に迫る知事選(9月11日投開票)に影響を及ぼすとみられる。(沖縄支局・豊田 剛)

知事選へ両陣営の課題露呈

沖縄は今年、知事選や地方首長選などが相次ぎ「選挙イヤー」とされる。これまで革新系の「オール沖縄」勢力の候補は1月の名護市と南城市、2月の石垣市、4月の沖縄市の各市長選で4連敗と苦境が続いた。衆院選では、4選挙区中、改選前の3議席から2議席に減らし、勢いは自公陣営にあると思われた。

ただ、自民にとって参院選は鬼門だった。過去3回は「オール沖縄」候補に大差をつけられて敗北している。

伊波氏に当確が出たのは日付が変わった0時すぎだった。微動だにせず行方を見守った古謝陣営の支持者たちが立ち上がって拍手を続けると、「玄太またやるぞ」「よくやった」などという励ましの声が飛び交い、古謝氏は涙をこらえられない様子だった。支援者を前にして「知名度ゼロ、組織もないが、この4カ月間しっかり活動して、現職の背中にここまで迫ることのできたのは、ひとえに皆様のおかげ」と感謝の気持ちを述べた。

打ち上げ演説で新型コロナウイルス感染による隔離から復帰した玉城デニー知事(前列左から2人目)の応援を受ける伊波洋一氏(同3人目)=9日午後6時、沖縄県那覇市の県庁前広場

公示前の世論調査で古謝氏が伊波氏を猛追していることが分かると、自民党本部は沖縄を最重要選挙区の一つに指定。選挙期間中は、岸田文雄首相が3カ所でマイクを握った。現職首相として9年ぶりの国政選挙応援となった。このほか、党本部から茂木敏充幹事長、河野太郎広報本部長、小渕優子組織運動本部長、さらには、菅義偉前首相、小泉進次郎元環境相など前例がないほどの応援弁士が駆け付けた。古謝氏は政府と一緒になって新型コロナウイルス感染で影響を受けた観光・経済を立て直すことを約束したが、及ばなかった。

自民公認候補は参院選に限ると前回は5万票、前々回は「オール沖縄」候補に10万票差をつけられた。自民党沖縄県連会長の中川京貴選対本部長は、「(古謝氏の)27万という得票はこれまでの参院選と比べて伸びている。もう1~2週間長く取り組めていたら勝てたかもしれない」と分析した上で、「全ての責任は自民党県連にあると思っている」と述べ、古謝氏の頑張りを称(たた)えた。

宮崎政久衆院議員(自民)は「選挙終盤に追い付いて大逆転するシナリオを描いていたが、時間が足りなかった。敗因は知名度だけ」と唇をかんだ。

わずかながらも、これまで自民に投票していた支持者の票が参政党候補などに流れた。非自民の保守層をいかにまとめるかが2カ月後に迫る知事選に向けての課題だろう。

対照的に喜びを爆発させたのは伊波氏だ。当確を受け万歳三唱すると支援者に「沖縄の民意の勝利で、『辺野古新基地』ノーという民意の勝利だ」とあいさつした。玉城知事は「オール沖縄の考え方は県民とつながった。今度は沖縄県政バージョンにして選挙を戦いたい」と述べ、2期目に向けて知事選への意気込みを口にした。

9日夕方、那覇市で行われた打ち上げ演説で、伊波氏は「基地のない平和な沖縄をつくり、この島を2度と戦場にしないことを約束する。憲法9条の改悪を許さず、沖縄を軍事化させないようにしっかり取り組む」と訴えた。選挙戦では「基地のない平和な島」をスローガンに、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設や南西諸島の自衛隊強化に反対を一貫して訴えた。

伊波氏は宜野湾市長を辞して2010年に県知事選に挑戦するも敗北。その後、参議議員に転身して1期務めた。伊波氏の知名度は抜群だ。それでも古謝氏との票差はわずか2888票。古謝氏と保守色の強い他の3候補の得票を合計すると負けている。オール沖縄陣営の関係者は「負けをある程度覚悟していた」と述べるなど、古謝氏の激しい追い上げに焦りを隠せなかったことを明かした。

玉城知事は選挙戦中盤、新型コロナウイルスに感染し、ほとんど選挙応援に入れず、求心力を低下させた感は否めない。知事選までの間に県民の信頼をどこまで回復できるか、残された時間は短い。