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沖縄県知事選 自民、候補に佐喜真前宜野湾市長

玉城氏も再出馬の意向

公開演説会に臨んだ佐喜真淳氏(中央)ら5人=5月28日、沖縄県那覇市の沖縄ハーバービューホテル

8月25日告示、9月11日投開票の沖縄県知事選に向けて、県政奪還を目指す自民党県連は5月28日、知事選の候補者に前宜野湾市長の佐喜真(さきま)淳氏(57)の擁立を決めた。現職の玉城デニー知事(62)も6月中に出馬を表明する予定で、「選挙イヤー」の天王山と位置付けられる知事選が一気に活発化する。 (沖縄支局・豊田 剛)

保守VSオール沖縄前回と同じ構図に

5月28日、自民県連の知事選候補者選考委員会は那覇市のホテルで公開演説会を開催した。

参加したのは佐喜真淳氏のほか、県議会議長の赤嶺昇氏(55)、沖縄県医師会理事で医師の玉城研太朗氏(47)、元ボクシング世界王者で会社経営の平仲信明氏(58)、元県保健医療部長の砂川靖氏(62)の5人。知事になって着手したいことや知事への思いなどを熱く語った。それぞれの持ち時間10分で、拍手やエール禁止の静寂の中、会場は緊張した空気に包まれた。

選考委員は、県連所属の国会議員や県議、保守系の首長、経済団体、保健医療幹部ら26人。選考委員長の松本哲治浦添市長が「全会一致で佐喜真淳さんに決定した」と発表すると大きな拍手が沸き起こり、他の候補4人は祝福した。混乱や、その場で不満の声が上がることはなかった。松本氏によると、最多得票を得た佐喜真氏を候補者とすることで選考委員全員が合意したというのが実情だ。

静かに演説に聞き入る聴衆ら=5月28日、沖縄県那覇市の沖縄ハーバービューホテル

擁立決定を受け、佐喜真氏は「県民が豊かで幸せを実感できるようにしたいという思いで知事選挙に立候補した。大きなダメージを受けている県経済を立て直したい」と力強く述べた。

選考委員会の予定より2カ月遅れての最終選考となった。公募に近い形で7人の立候補者候補のリストまで公表したが、直後に有力候補2人が辞退し、5人での決戦となった。

18年の前回知事選は、玉城氏が歴代最多の39万6千票余りを獲得。佐喜真氏は約8万票の大差を付けられたことから、自民党本部は玉城氏の知名度の高さを警戒。現職に勝てる候補を擁立するよう強く求めていた。知名度の高い西銘恒三郎沖縄担当相やタレント、官僚など幅広く候補者探しをしたが、最終的に政治家として実績のある佐喜真氏でまとまった形だ。

一方、2期目を目指す玉城氏は、出馬表明する方針を固めた。

玉城氏は5月27日の定例会見で、「2期目については家族や後援会と相談しながら決めたい。任期をしっかり全うしていく中で、その公約実現を果たしていきたい」と述べるにとどめていたが、玉城氏を支える「オール沖縄」の関係者が、6月11日に出馬表明する方向で進めていることを明らかにした。

これで、4年前と同じ、革新系の「オール沖縄」が応援する玉城氏と自公が推す佐喜真氏による事実上の一騎打ちになる公算が大きくなった。

県が3月に公表した意識調査で関心事のトップとなった子供の貧困対策、経済対策、そして、普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を含めた米軍基地の整理縮小などが争点となりそうだ。

4年前は翁長雄志知事の急逝に伴う「弔い選挙」の色彩が濃かった。玉城氏を支える「オール沖縄」の幹部は、「前回のような勢いはない。厳しい選挙になる」と述べる。一方、自民は今年に入って市長選で4連勝中だが、「全県選挙となると別物」(自民党県連幹部)と警戒感は怠らない。

佐喜真淳氏の演説要旨

基地問題を確実に解決

県知事選に落選した4年前から県内各地を回って、地域の課題や要望を見聞きしてきた。沖縄県のために政治の舞台でもう一度頑張らなければならないという決意にもなった。

私には夢がある。それは普天間飛行場の返還。しかし、返還合意から四半世紀が過ぎても、返還はおろか、返還期日を示されずに時間だけ過ぎたことは、宜野湾市長を経験した私自身にとっても痛恨の極みだ。

私が知事であれば、基地問題を確実に解決する。普天間飛行場の返還と跡地利用を含め基地問題を確実に解決する。嘉手納基地以南の1000㌶の米軍施設を返還し、ダイナミックに均衡ある沖縄の発展を目指す。国との関係が冷え切った現県政では期待できない。

新型コロナウイルス感染対策では、沖縄県には国内観光客の9割以上が空路で入域するため、政府や航空会社などと連携し、法改正も含めて「水際対策モデル県」として取り組む。

また、産業構造の改善を図り、経済の格差を是正し、貧困の根絶を果たすことを最優先に考える必要がある。

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