知事選の前哨戦 沖縄市長選が告示 24日投開票

3期目の公約を述べる桑江朝千夫氏=11日、沖縄県沖縄市の沖縄市民会館(左)と決意表明する森山政和氏=15日、沖縄県沖縄市の沖縄市民会館

保守系3選か 革新巻き返しか

沖縄県の第2の都市、沖縄市の市長選が17日に告示され、新人で玉城デニー知事ら「オール沖縄」勢力が支援する前市議の森山政和氏(73)=立民、共産、社民推薦=と3期目を目指す現職の桑江朝千夫氏(66)=自民、公明推薦=が立候補を届け出た。24日に投開票される。秋の知事選を占うものとして注目される。(沖縄支局・豊田 剛)

貧困の連鎖を断ち切る 桑江氏

公共事業から人材投資へ 森山氏

沖縄本島中部に位置する沖縄市は、那覇市に次いで県内で2番目に多い約14万の人口を抱える。その市長選は7月の参院選や9月の県知事選を占う重要な選挙として注目されている。

3期連続の当選を目指す桑江氏は沖縄市のランドマークである胡屋(ごや)十字路のミュージックタウン音市場の前で出陣式を行った。

胡屋地区の整備事業で交通結節点となるバスやタクシーのターミナルを整備するプロジェクトに言及。「交通を便利にすることで新しい商店街を築き上げ、この地域を一変します。『これまでの50年』から『これからの50年』に変えていく」と力強く語った。

桑江氏は1万人を収容できる沖縄アリーナとモーターサーキット場の完成、沖縄こどもの国(動物園)の整備拡充、東部海浜事業の着手など、2期8年の実績や貧困問題の解決に向けた政策を訴えた。

11日に開かれた総決起大会では、沖縄アリーナによる効果で昨年末に市内に2棟のホテルが建ったとし、「来年5月にも大きなホテルが完成する。もう通り過ぎるだけの沖縄市ではなく、投資をしたい沖縄市になった」とアピールした。

来賓として登壇した菅義偉前総理は、沖縄アリーナについて「当初は『いくらなんでも1万人はない』という思いだったが、桑江さんから『子供たちの将来のために必要。沖縄観光の起爆剤になる』と言われ、乗った。見事に素晴らしいアリーナが完成した」と述べ、熱意を称賛。「現場の声を県政や国政にしっかり伝えることのできる桑江市長をお願いします」と支持を求めた。

桑江氏は、重点政策として貧困対策を挙げる。中学卒業までの医療費の無償化だけでなく、子供の資格取得や就業を支援し、「地域や企業の皆さんと貧困の連鎖を断ち切る仕組みをつくり上げていきたい」と訴えた。

1万人が収容できる沖縄アリーナ

昨年の衆院選沖縄3区では自公が推した島尻安伊子氏が革新統一候補の屋良朝博氏を破って当選したが、沖縄市に限ってみるとほとんど票差はない。公明党沖縄県本部の金城勉代表は、「保革の基礎票はほぼ同じ。これまでの実績を考えれば市長を変える理由は見当たらない」と述べた。

3期ぶりの革新市政復帰を目指し、市議3期目の森山氏が革新統一候補として出馬。コザ十字路で出陣式を行った森山氏は、「公共事業から人材投資へ」というフレーズを繰り返し、「私は誰一人取り残さない、人に優しい街づくりのために立候補した」と決意表明した。

15日の総決起大会では、桑江氏が手掛けた沖縄アリーナなどの公共事業を優先した結果、「子供や女性への政策がないがしろになった」と批判。「人材づくりに最大限の投資をし、小さな再開発で中小企業の活性化を図り、市民所得を向上させる」と訴えた。市の1人当たりの市民所得が県内41市町村中39番目である現状を憂え、「市民所得の10%アップを目指す」と訴えた。

沖縄市は、キャンプ・キンザー(浦添市)の倉庫群を市内の嘉手納弾薬庫知花地区に移設することを受け入れている。これについて森山氏は、基地の強化につながるとし、市議時代から反対の立場を取る。「騒音問題やPFOS(有機フッ素化合物)による汚染問題もしかり、基地の強化は絶対に許されない」と強調。普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設にも反対を唱えている。

応援演説した玉城知事は、沖縄市における新型コロナウイルスのワクチン接種率の低さと新規感染者の多さを指摘した。ただ、責任の所在が県なのか市なのか意見が分かれるところだ。

森山氏の課題は知名度だ。市政野党の統一候補に決まったのは2カ月半前。本命視された市選出の仲村未央県議(社民)は県議会の与党議席が減り、野党に主導権を握られることが懸念され、擁立に至らなかった。

その後、複数の立候補を打診したがことごとく断られ、選考は難航。そこで、無投票となることを恐れ、野党市議団のまとめ役の森山氏が立候補を決断した経緯がある。森山選対のある幹部は「まだ相手の背中に手が届いていない」と危機感を抱く。玉城デニー知事の出身地で惨敗するとなれば、参院選や知事選に大きく影響することは避けられない。

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