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参院選投開票、国づくりへ良識ある人材を


 令和初の国政選挙である第25回参議院選挙は、きょう投開票される。6年半に及ぶ安倍晋三首相の政権運営や政策を支持するのか、野党各党の主張と対案を支持して一票を投じるのか。有権者はそれらを吟味し、新しい時代の国づくりに真摯(しんし)に取り組める良識の府に相応(ふさわ)しい人材を選択してもらいたい。

注目される二つの数字

 今回の選挙で注目したいのは「63」「85」という二つの数字だ。与党が「63」議席を獲得できれば、改選過半数となり、事実上、安倍政権が信任されたことになる。首相が政権を安定して継続していくために最低限必要な数字だ。

 「85」は、憲法改正の国会発議に不可欠な3分の2である164議席に届くために必要な数字である。自民、公明、維新などの改憲に前向きな勢力がこの議席数を獲得できなければ、他の野党内から賛同者を集めなければならなくなる。それが不可能であれば安倍政権下での改憲は諦めざるを得なくなろう。

 安倍首相は2012年に党総裁へ復帰して以降の5回の国政選挙と異なり、初めて改憲を前面に出し「憲法改正の議論すらしない政党を選ぶのか、議論を進めていく政党や候補者を選ぶのか」を争点にし続けた。急がれている改憲の議論をする憲法審査会が動かない現在の異常な状況を打破しなければならないからだ。

 残念だったのは、同じ与党の公明党が争点化しなかったことだ。立憲民主党などの野党は「国民は改憲を望んでいない」と決め付けて論争の深化を避けた。こうした後ろ向きの姿勢では、新たな国づくりのスタートラインに立つことすらできない。

 一方で野党は「老後資金2000万円」問題で攻勢に出て、年金や社会保障で国民の不安を煽(あお)りながら対案を訴えた。しかし、その財源確保には説得力を欠いた。与党側も年金制度の持続可能性や低年金者への給付金などをアピールしたが十分な理解を得たとは言い難い。

 10月に税率を10%に引き上げる消費税増税についても、公約に掲げた自民、公明と、凍結、中止、反対を公約とした野党との間での議論は深まらなかった。有権者は、どちらがより現実的で実行可能な政策かを投票の判断基準にすべきだろう。

 1人区での野党共闘にも注目したい。3年前の参院選で共産党と民進党は共闘し、すべての1人区で統一候補を立てて戦ったが、国民から厳しい審判が下された。それが原因で「自民1強」体制が強化された。今回もその反省がなく、主要野党は負けないことだけを目的として異質の共産党と共闘した。

 外交・安保の基軸となる日米同盟をどう深化させるのかといった基本政策を問わず、「反安倍」だけで共闘する。これでは議会制民主主義を正常に機能させるための政権党に代わる本格政党は育たない。

国政に関与する自覚を

 参院選の投票率はこれまで低調であり、今回も懸念されている。しかし、国政を他人に任せ切りにするのではなく、自らの意思で関与していく責務のあることを自覚し投票所に向かってもらいたい。