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令和参院選 静岡 榛葉、徳川との決戦熾烈


令和参院選 注目区を行く(6)

 「今度の選挙、全く読めない」と、各候補の選挙事務所が異口同音に話す。

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 これまで自民と民主系が改選2議席を分け合い、“無風区”と呼ばれていた静岡だが、国民現職の榛葉賀津也に対し、立憲から強力な刺客が送り込まれた。新人ながら徳川宗家19代目という強烈な肩書を持った徳川家広だ。

 民進から分かれた立憲と国民の直接対決は2人区では静岡のみ。国民の参院幹事長として安全保障やエネルギー政策で立憲と距離を置く榛葉の追い落としを図る構図だ。徳川は反原発や護憲を掲げ、特に街頭演説では浜岡原発の廃炉を積極的に訴える。

 党からも大物が続々と応援に駆け付けている。蓮舫副代表や長妻昭代表代行ら党幹部に加え、12日には菅直人元首相が浜岡原発前で徳川と演説を行った。さらに13日には枝野幸男代表が静岡市内などでマイクを持ち、徳川を安倍政権と戦うための「即戦力」と絶賛した。

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小雨の中、候補者の演説を聞く有権者ら=13日午後、静岡市葵区

 徳川は全日本仏教会などの推薦を獲得。陣営内からは保守票の切り崩しを期待する声も出ているが、リベラル色を鮮明に打ち出す徳川に保守票がどれだけ流れ込むかは不透明だ。

 また、当初は「葵(あおい)の紋」をかざしながらの運動だったが、「徳川家」の人気は地域によってばらつきがあり、選対幹部は「立憲民主の党名を前面に出すようにしている」と戦略転換を明かした。

 立憲の刺客に強い危機感を示すのは国民の榛葉だ。過去3回、自民と議席を分け合ってきたが、今回は「(徳川と)横一線に並んでいる」と選対幹部は厳しい表情を浮かべる。玉木雄一郎代表も第一声を静岡で行い、11日に再び来県するなど議席死守に全力を尽くす。

 3選ながら「常に初陣」と書いた幟(のぼり)を立て、「現在の権力者(自民)とかつての権力者(徳川)」に対する挑戦者であり、静岡生まれでサラリーマンから町議を経た自身こそ「庶民の気持ちが分かる政治家」と強調する。「八十八夜」の5月2日から始めた街頭演説は15日夕、東急スクエア交差点前の演説で1000回に達した。

 3連休初日の13日には静岡新聞1面に「野党激突に『官邸介入』」の記事が掲載された。

 榛葉に「首相官邸」の依頼で、スズキなど大手企業や業界団体が支援に回っているとの内容。徳川陣営は記事のコピーを事務所に置き、訪問者に配布している。女性スタッフは「立憲を追い出そうとしている。本当に腹が立つ」と憤りを隠さない。

 一方、榛葉陣営の選対幹部は「びっくりしている。起こり得るはずのないこと」と否定。さらに「向こう(立憲)からすればいい材料になったのかもしれないが、こちらは意に介してない。自分たちがやろうとした選挙をするだけだ」と力を込めた。

 官邸側は16日、「そうした事実関係はない」(菅義偉官房長官)と否定した。

 自民の牧野京夫は河川・海岸・道路などの補強事業や昨年の豪雨災害での対応経験などを強調しながら、県内の防災・減災対策の必要性を訴える。国交副大臣としての実績を背景に、自民・公明の盤石な支持や比例候補の友好団体を固め、安定した選挙戦を展開。しかし、「前回、獲得した票数(63万超)を下回るわけにはいかない」(選対幹部)と陣営の緩みを警戒する。(敬称略)

(2019参院選取材班)