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骨太方針原案、氷河期世代正社員化に全力を


 政府が経済財政諮問会議で示した経済財政運営の指針(骨太の方針)原案は、いわゆる「就職氷河期世代」の正規雇用化を柱に据えている。

 高齢化と人口減少の時代に入ったわが国の社会保障制度を支える労働者を増やすとともに未婚率の低下をもたらし得る。遅きに失したとはいえ、明るい日本経済につなげたい。

3年間で30万人増やす

 「失われた20年」と呼ばれた平成の長期不況の直撃を受けた人々の救済を、令和の経済政策の嚆矢(こうし)とすることは適切な方針だ。昭和時代末に膨れ上がった資産バブルが破裂し、平成初期から続いた不況による就職難は、当時の新卒の若者たちにとって惨(むご)い光景だった。

 就職活動に100社近く回っても正規採用は難しく、アルバイトやパート、よくて派遣社員という話は巷間(こうかん)で満ちあふれていた。思い詰めた揚げ句の引きこもりも社会問題化し、自殺者が年間3万人を超したのもこの時期である。

 現在30~40歳代の氷河期世代のうち就職支援を必要とする人は100万人ほどいるとみられている。このうち3年間で30万人を正規雇用する集中支援計画の実施を骨太原案は打ち出しており、増加ペースを過去5年の倍に引き上げる目標を掲げた。

 安倍晋三首相は会議で「氷河期世代への対応は国の将来に関わる重要な課題であり、計画の策定だけでなく、実行こそが大事だ」と強調。茂木敏充経済再生担当相も「政府を挙げて取り組む初めての本格的な支援プログラムだ」と訴えている。

 まずは非正規就労現場での正社員化を進め、企業側の理解を得て中途採用求人数を増やすことが求められる。ハローワークでの専門の窓口を充実させ、各種資格取得に向けた職業訓練校での支援を強化し、場合によっては心のサポートを行う行政やNPOと協力しながら社会参画を働き掛ける必要もあろう。

 また現在、全国平均874円である最低賃金を1000円に引き上げる政府目標を「より早期に」実現するとしている。実現できるに越したことはないが、賃上げと採用数増加は企業側には負担を伴うものだ。

 東京への一極集中の是正を図るならば、大都市と地方との賃金格差を置き去りにはできない。地方経済の振興と合わせ、就労条件と賃金の好転が人口減少に少しでも歯止めをかけるように計算していくべきだ。

 高齢化社会における問題の一つは、生産年齢人口の減少だ。未婚率は非正規雇用者の方が正規雇用者よりも高く、就職氷河期はわが国の出生率を下げる要因にもなった。

 また、働き方改革の一環としても高齢者の就労を促す必要がある。退職年齢引き上げや、年齢を問わない能力本位の賃金制度などを検討すべきだ。

国民に十分な説明を

 社会保障費の増大を支えるための痛みは不可避だが、予定通り10月に消費税率の8%から10%への引き上げを行い、一定の収入がある高齢者への年金を減額・停止する在職老齢年金制度の廃止を検討することについても、国民に十分な説明を継続する必要がある。