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日比首脳会談、対北包囲網強化につなげよ


 安倍晋三首相はフィリピンのドゥテルテ大統領と会談した。両首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発について「脅威」との認識を共有。国連安保理決議の厳格な履行など圧力強化へ緊密に連携していくことを確認した。

「脅威」との認識を共有

 首相は「北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題の早期解決や、自由で開かれたインド太平洋の実現へ協力して対応していくことを確認した」と表明。ドゥテルテ大統領は「両国は協力して地域の安全保障のため対処していきたい」と述べた。

 北朝鮮はこの1カ月余り、核実験や弾道ミサイル発射などの挑発は行っていない。しかしトランプ米大統領の訪日を前に、日本に対して「米国の手先となって軽率に振る舞えば日本列島が丸ごと海中に葬り去られることを肝に銘じるべきだ」と威嚇するなど敵対的な姿勢を取っている。

 ドゥテルテ氏は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長について「アジアで核戦争を引き起こす可能性がある愚か者だ」と強い口調で批判したことがある。日比両国は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への国際包囲網を強める必要がある。

 ドゥテルテ氏は昨年6月の大統領就任以来、容疑者殺害も辞さない強硬姿勢で国内の麻薬対策を進めた。また、フィリピン南部ミンダナオ島マラウィ市の一部を占拠した過激派組織「イスラム国」(IS)支持勢力の掃討作戦を展開して市の奪回に成功した。

 だが対外的には、麻薬対策を批判したオバマ前米大統領に暴言を連発し、米比首脳会談が中止に追い込まれるほど両国関係は冷え切った。一方、中国の主権主張が否定され自国が勝訴した昨年7月の仲裁裁判所判決を事実上棚上げし、見返りに中国から巨額の経済支援を得るなど親中姿勢を示している。

 しかし、南シナ海での中国の横暴はフィリピンだけの問題ではない。南シナ海が中国の「内海」となれば、航行の自由が脅かされ、日本にとっても死活的問題となる。

 中国ではこのほど開かれた共産党大会で、習近平総書記(国家主席)の権力基盤が強化された。今後、覇権主義的な動きが一層活発化しよう。

 だが南シナ海の軍事拠点化は力による現状変更であり、国際法に違反するものだ。看過すれば国際秩序が大きく揺らぎ、地域の不安定化を招く恐れがある。ドゥテルテ氏は中国の振る舞いを容認してはなるまい。

 首脳会談に先立ち、小野寺五典防衛相はフィリピンで同国のロレンザーナ国防相と会談。3月から有償で貸与している海上自衛隊の練習機2機を来年3月末に無償で引き渡すとともに、新たに3機を追加供与することで合意した。

 比海軍の警戒監視能力を高め、中国を牽制(けんせい)する狙いがある。今後もこうした防衛協力を継続する必要がある。

米比は対中国で連携を

 トランプ氏は訪日後、フィリピンも訪れる。

 ドゥテルテ氏はトランプ氏と良好な関係を築き、中国の強引な海洋進出に対処するため連携すべきだ。