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衆院解散、真正面から政策論争を


 28日召集の臨時国会冒頭で衆議院が解散され、投開票まで3週間余りの選挙戦に事実上、突入した。衆院選は2014年12月以来で、安倍政権継続の是非を問うことになる。

 野党側は野党第1党の民進党が選挙戦から撤退し、新党「希望の党」に駆け込むことを決めた。このため、自民・公明の与党対小池百合子東京都知事率いる「希望の党」との対決の構図となった。

 政党政治否定する民進

 自公両党で過半数の233議席を獲得するのか、「希望の党」がどこまで健闘するのか。人気取りや受けのいいだけの政策の乱発といった上滑りの戦いとするのではなく、重要課題で具体的かつ実現可能な政策を提示し合い有権者の判断を仰ぐべきである。

 安倍晋三首相は今回の選挙を「国難突破解散」と命名した。少子高齢化と北朝鮮の脅威の問題を「国難」とし、政権の政策と首相の政治姿勢への信を問うことになった。

 首相は「私たちの責任は政策を訴え、結果を出していくことだ。正々堂々訴えたい」と語った。だが、自民党が選挙公約に掲げる重点政策の骨子案の中で、首相が提案した5項目のうち、憲法改正を「国の骨格」に変更したのは残念だ。

 小池氏が9条改憲を優先する首相の姿勢に疑問を呈したため争点化を避ける狙いがあるというが、なぜ真正面から訴えないのか。北朝鮮による核・ミサイルの脅威が急激に高まっており、国民の理解を深める好機のはずだ。

 一方、民進党の「希望の党」へのなりふり構わぬ行動は政党政治自体を否定するものだ。前原民進党は、公認内定を取り消し、立候補予定者に「希望の党」に公認申請をさせ、候補を擁立しないことを決定したのである。だが、政策がまずあっての政党ではないのか。当選への期待を最優先して党籍も変えずに「希望の党」から出馬するというのは国民を惑わす。かつて政権の座に就いた党の矜持(きょうじ)を捨て去ったもので、国政を担う政党人の取る手法とは思えない。

 前原誠司代表は「われわれはどんな手段を使っても安倍政権を止めないといけない」と語ったが、「反安倍」だけが動機であれば希望はない。

 「希望の党」はにわか作りの新党であるため、具体策に乏しいが、公認の条件としては憲法改正と安保関連法に賛成することを挙げた。小池氏は民進党の「合流ではない」とし、一人一人の政策を確認する作業を経た上で公認するか否かを決定する考えを表明した。厳密にチェックをしなければ結果的に野合と見なされても仕方あるまい。

 冷静に訴えを見極めよ

 同党はまた、大まかなビジョンやスローガンだけが先行している。「寛容な改革保守政党を目指す」のは評価できるが、具体策が伴っていない。「日本をリセットしなければ日本の安全保障を十分守り切れない」と小池氏は主張したが、どうリセットするのか。責任ある原発政策を策定できるのか。

 有権者には各政党・候補者の訴えを見極める冷静さや判断が求められる。