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首相国連演説、北朝鮮非核化に結束の執念を


 安倍晋三首相が国連総会一般討論演説を行い、持ち時間の5分の4を北朝鮮問題に費やして核兵器・ミサイル開発計画を放棄させるため圧力を強め、結束を固めるように訴えた。

 北朝鮮は核兵器開発に自信を示し、日本列島を核兵器で沈め、制裁を全会一致で決議した国連を廃虚にすると威嚇している。国際社会は真剣に受け止めるべきだろう。

 トランプ氏演説と連携

 首相の演説は1日前のトランプ米大統領の演説とも連携したものだった。トランプ氏は北朝鮮の非道の数々を列挙し、首相は対話による解決の試みが完全に欺かれて北朝鮮が水爆と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を手にしようとしている事態に強い危機感を示した。

 北朝鮮を思いとどまらせる第一の方法は力だ。首相は「対話とは、北朝鮮にとってわれわれを欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と批判。1994年には核兵器はなく、弾道ミサイル技術も乏しかった北朝鮮が今日、水爆とICBMを完成しつつあることに「対話による問題解決の試みは無に帰した」と訴えた。

 これまでの経緯を踏まえ、「必要なのは対話ではなく圧力」であるとした首相の訴えは、北朝鮮情勢の厳しさから示した結論である。が、その理解を国際社会の隅々に浸透させなければ「圧力」の効果は上がらない。

 北朝鮮の非人道的な異常性は、金正恩朝鮮労働党委員長の下でも金氏一族を含む多くの幹部が残虐な手法で公開処刑されていることや、トランプ氏と首相ともに強調した横田めぐみさんら多数の日本人拉致、その他、偽札製造、麻薬密売、大韓航空機爆破などの無差別テロ攻撃といった多くの事例がある。

 このような北朝鮮の独裁者が核兵器を保有することは、トランプ氏が指摘した通り「地球上の誰も望んでいない」。しかし、クリミア併合などで制裁を受けているロシアは米国に反発し、北朝鮮と血盟関係にあった中国の協力はまだ限定的だ。また、ドイツがトランプ氏の北朝鮮「完全壊滅」の選択肢に疑問を示し、韓国は北朝鮮への9億円の人道援助を決めるなど、一枚岩の対応にはなっていない。

 北朝鮮は166カ国と国交を結んでいる。首相が「核・ミサイル開発に必要なモノ、カネ、ヒト、技術が北朝鮮に向かうのを阻む。全ての加盟国による一連の安保理決議の厳格かつ全面的な履行を確保する。必要なのは行動だ」と呼び掛けたように、各国の協力を広げることが不可欠だ。執念を持って結束を呼び掛けるべきだ。

 北朝鮮はまた、米領グアム島だけでなく米本土攻撃の脅しをかけている。トランプ氏は「米国と同盟国を守らなければならなくなれば、北朝鮮を完全に壊滅するしか選択肢はなくなる」と述べ、米国はその準備ができていると表明した。

 平和と繁栄に誘導せよ

 軍事行動を選択肢に含める米国に対して、首相は「一貫して支持する」と表明している。北朝鮮には核兵器による孤立・疲弊か、核兵器なき平和と繁栄かの選択を迫るよう圧力をかけ、後者に誘導していくべきだ。