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穏やかな会期末 新党や政界再編の兆しも


 いつの国会でも会期末は荒れる。この国会も例外ではない。秘密保護法案をめぐり与野党が対立したまま終幕を迎える。

 しかし昔の会期末風景を思い出すと、随分穏やかになったものだと感心しないわけにはいかない。昔の会期末はいつも政局と連動していた。

 攻める野党は、いつ時の首相が伝家の宝刀を抜くかおっかなびっくりだ。守る与党も国会末恒例の野党の内閣不信任案が怖い。当時の与野党の力関係は僅少の差だった。野党が団結し、与党から落ちこぼれが出ると、形勢逆転の恐れがあった。もし不信任案が成立すると、政権は「イヤ」「オー」なしに総辞職しなければならなかった。

 与党も野党も互いの命を賭けての勝負が展開されるのが通例だった。だから国会末は一種の殺気のような凄(すご)さと迫力があった。その代わりこの危機を乗り切ると与野党ともにホッとする。与党は役員人事や内閣改造に専念し、野党は派閥抗争がまた新しい形で再燃される。

 この20年ほど永田町はこの繰り返しだった。その間、解散や総選挙が何度か行われた。選挙の度に、与野党の頭数が変わったが、選挙で政権が交代することは珍しかった。世界の情勢は目まぐるしく変わる。変わらなければ置いていかれる。その中にあって永田町は動かざること山の如(ごと)しだった。

 しかしその山が動き出しそうだ。各党ともに穏やかではない。新しい派閥が出来るかと思えば、伝統ある派閥が消えて無くなる。あるいは血気な連中が党を飛び出して新党を作る。まるで何かを要求しているように慌ただしい。

 その声が与野党全体に波及して新党結成や政界再編成にまで発展しそうな雲行きだ。これからの自民党や民主党の動きから目が離せない。これまでの経験によると、政党の離合集散は掛け声だけでは成就しない。与党と野党が一体となって、重い車輪をぐるりと回さない限り、政界再編成は至難の業だ。

 あまり乗り気でなかった自民、民主の二大政党もその気になりつつある。群小政党もお呼びでもないのに熱心だ。いまがチャンスかも知れない。

 さて国会も今週終わる。大きな収穫もなかった代わりに、会期末のバカ騒ぎも見られず、まあまあの成績を残した。来年また年明けとともに新しい永田町が始まる。来年こそは変化の年だ。いつもの言い草ではないが、政治が日本再生の先頭に立って貰(もら)いたいという国民の願いは少しも変わりない。

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