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民主党代表質問、改憲に後ろ向きでいいのか


 安倍晋三首相の施政方針演説に対する各党代表質問が始まった。野党第1党である民主党の岡田克也代表は、憲法改正について「立憲主義の基本を理解しない首相の下では極めて危険だ」と懸念を表明。夏の参院選における改憲勢力「3分の2阻止」を訴えた。改憲に後ろ向きの姿勢は残念だ。

 安保法廃止の方針示す

 岡田氏は冒頭、甘利明経済再生担当相の金銭授受疑惑を取り上げ、首相の責任を追及した。「政治とカネ」では第2次安倍政権発足以降、小渕優子前経済産業相ら3閣僚が辞任し、政治不信を増幅させた。甘利氏には明確な説明が求められる。

 ただ、野党が疑惑を厳しく追及するのは当然としても、デフレ脱却や少子高齢化への対応など課題は山積している。この問題で今後の国会審議を停滞させることがあってはなるまい。

 岡田氏は「提案型」の質問で格差是正や財政健全化などの政策を列挙。「本当の課題を先送りするバラマキ政治」と首相を批判して「国民に正直で真面目な政治か、それとも安倍政治か」と対決姿勢を鮮明にした。参院選を意識したものだろう。

 しかし、安全保障関連法廃止法案を提出する方針を掲げたことには疑問が残る。この法律は集団的自衛権行使を限定容認して日米同盟を強化し、抑止力を高めるものだ。

 強引な海洋進出を行う中国は沖縄県石垣市の尖閣諸島の領有権を一方的に主張し、周辺で領海侵犯を繰り返している。北朝鮮は今月初めに「水爆」と自称する核実験を行ったばかりだ。日本を取り巻く安保環境の厳しさを認識しているのか。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で「沖縄と本土の歴史的なあつれきの再来」と指摘し、名護市辺野古への移設工事を「直ちに中断すべきだ」と要求したことも理解に苦しむ。辺野古移設は、県民の基地負担軽減と在日米軍の抑止力維持を両立させるためのものだ。

 そもそも、この問題がこれほどこじれたのは、民主党が政権の座にあった時に移設先について「最低でも県外」と公約したにもかかわらず、後に日米合意の辺野古移設に回帰して県民を混乱させたことが原因だ。ここにきて移設に反対するのは明らかに矛盾している。

 そして改憲に関して、首相が優先課題とする「緊急事態条項」に触れ、「民主主義の根幹を揺るがしかねない問題という認識はあるか」と述べた。

 これでは護憲政党と変わらない。現憲法は70年前の制定以来一度も改正されたことがなく、9条をはじめ多くの不備があることは明白だ。岡田氏は「改正することを否定するものではない」としているが、それであれば改憲案を示すのが筋だろう。自民党の谷垣禎一幹事長が、岡田氏の質問について「全体を左に振ったような印象を受けた」と述べたのも当然だ。

 “左傾化”は支持得られぬ

 政権転落後、民主党の信頼回復は道半ばだ。求められるのは、二大政党の一翼を担うために政権担当能力を磨き、政府・与党と現実的で建設的な論議を行うことだろう。“左傾化”すれば、国民の支持は得られない。

(1月27日付社説)